馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

シュヴァっちの思春期男子みたいな家族の励ましうざったい感はよかったけど…。アニメ3期「ウマ娘」8話の感想。

 すごく面白い、というほどじゃないけど、まぁまぁいいです。


 秀逸だったのはシュヴァルグランのキャラクター。

 (アプリとキャラが違う、と100万回言われてることは気にせず)姉がG1ウマ娘、妹さえも先にG1勝ち、という優秀な姉と妹のサンドイッチ状況で、勝手に焦りを深めている。
 よく言われるように、重賞を勝ったり、G1で上位に入るだけで、競走馬全体の中では上澄み。
 なので、ヴィブロスが「シュヴァっち」に言うように、ジャパンカップで3着というのは十分健闘。しかし、自分より先に実績をあげた姉妹に励まされる、というシチュエーションのためか効果ない、どころか逆効果。「うざったい」とすら思ってそう。

 

 ウマ娘の中にも、反抗期みたいにカリカリしてたり、つっけんどんなタイプがいるけれど、たとえばナリタタイシンならば、「モブの陰口」とか、すさむ理由は明快だった。

 しかし、シュヴァっちの場合、周囲は優しいのに勝手に焦っている点で、より「理由なき反抗」な思春期感が増している。

 前から、私も含めて「なんで姉妹ウマ娘が少ないんだろう」と言ってたけど、ヴィルシーナ、シュヴァル、ヴィブロスの「ヴヴヴ三姉妹」は、ハヤヒデ・ナリブの「最強姉妹」とは違う姉妹の形を見せてきて、ちょっと面白い。

 

 また、サトノダイヤモンドのキャラクターも、ブレなくてかっこいい。
 菊花賞前にジンクスを気にしすぎたことは、短くさらっと片付け、皐月賞敗北の後でも、有馬記念の時でも、大体毅然としている。
 そして「サトノ」初のG1ウマ娘になった後は、香港G1を勝ったサトノクラウンに触発されて、凱旋門賞を目指すなど、常に高みを目指す姿勢で一貫している。

 

 困ったことになっているのが、主人公のキタサンブラック
 すでにG1を3勝、ドゥラメンテよりダイヤより、3期メインキャラの誰よりもG1を勝っていて、史実では16年・年度代表馬にも選ばれた名馬なのに、アニメキタちゃんは、まだ「自分探し」をしていた。
 「商店街のみんなの応援が胸に来る」って、RTTTでもやったシチュ被りはまぁ置いといて、応援するファンの気持ちをトレーナーが代弁して、ファンとトレーナーが一体になってトプロを支えていたRTTTに比べると、スピカのトレーナー、なんも支えてないし、(相変わらず)前作キャラを持て余しているのが痛い。

 先述したように、ダイヤやシュヴァルはいいんで、「キタサンがスピカメンバー」という設定が、一番の足かせに。

余談

 巷では大好評だった「RTTT」だけど、実は私は、トレーナーに支えられているトプロに比べると、トレーナーすら登場しないオペラオー、アヤベさんという寂しさに不満があった。
 しかしあれは、「トレーナーのいない世界線アドマイヤベガ(支えてくれる人がいなくて鬱になりがち)」という解釈もあったし、ほか、自分で自分を「覇王」と演出して支えているオペ、という三者三様の表現は出来ていた。