馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

地方競馬衰退の構造と、ハルウララブームについて。

 ハルウララブームについては、もとからの競馬ファンだといい顔しなかった人もいて、淡々とした競馬記事では「賛否あるだろうが…」みたいな、濁した書き方をしていた。

 しかし私は評価する(上から目線)。
 「負け続けている馬を応援する」という競馬の楽しみ方を、ふだん興味のない一般人にも認知させたし、何より潰れかけていた地方競馬場が、ハルウララ一頭によって救われたのだ。

 地方競馬の衰退というのは、要は「財政難で賞金を高くできない(というかもう減額する)」⇒「いい馬が出走しなくなる」⇒「レースが盛り上がらず、ますます馬券売り上げが落ちる」という悪循環だった。
 地方でまたオグリキャップのような怪物が現れ、活性化するというのは、奇跡のような確率になっていた。


 この負のスパイラルを逆転させるために、高知競馬は「負け続けている馬をアイドルにする」という仕掛けに打って出た。

 それは決して悪いことではない。地方の競馬場や、そこで走る馬を作る中小牧場が、優勝劣敗の法則に従ってどんどん潰れればよかった、とは思わない。

余談

 経営危機は日本に限った話じゃない。
 たまたま海外レースのことを調べてネットサーフィン(死後)していたら、アメリカの芝中距離G1「アーリントンミリオン」が廃止になったという事実を知った。
 日本との関係で言うと、91年のジャパンカップを勝ったアメリカ馬ゴールデンフェザントが、アーリントンミリオンの勝ち馬だった。
 このレースは、「ミリオン」の名前通り、100万ドルという高額な優勝賞金を売りにアーリントン競馬場で始まった。ダートが主流のアメリカでは、貴重な芝の大レースだったんだけど、そのうち施行する競馬場自体が赤字&倒産の危機に陥り、新型コロナ流行も重なり、賞金の減額という禁じ手に踏み切った。
 もともと高額賞金を売りにしたアーリントンミリオンが賞金を減額したら、それはもう「ダメになってますよ」というようなものだ。そしてやっぱり、競馬場ごと潰れてしまった。

ja.wikipedia.org


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追記

ja.wikipedia.org

 “2022年 本年から開催場をケンタッキー州ルイビルチャーチルダウンズ競馬場に変更。名称を元の「アーリントンミリオン」に戻し、賞金総額も2019年以前と同じ100万ドルに戻される。”

https://www.bloodhorse.com/horse-racing/articles/257400/arlington-million-moves-this-summer-to-churchill-downs?utm_source=BHTW&utm_medium=social


 あ、最新の情報を見たら、閉鎖されたアーリントンパーク競馬場から別の競馬場に移り、賞金を100万ドルに戻してやっているらしい。復活してる。

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