馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

競馬ガチ勢が解説? 「ただの女子陸上」ではない、ウマ娘の走り方。

 我輩は最初、「ウマ娘」のことを、「(馬を少女にしたら)女子陸上だ」といったが、アニメをよく見るうちに浅はかさな先入観を猛省したナリ。
 「競走馬を美少女化する」というめちゃくちゃムリのある企画で、謎の情熱によってベストが尽くされたコンテンツ――、それがウマ娘ラジよ。

 
以下、それっぽい解説

 「足の速い動物」としてお馴染みのチーターくんを、スロー映像や連続写真で見ると分かるが、四本足の動きに合わせて、全身を丸めたり反ったりしている。人間も、走り幅跳びやハードル走では、ジャンプの時足を上げながら背中を丸めている。この丸めたり反ったりの全身運動で、跳躍力が増す。
 ところが馬の場合、胴体が長いため、チーターのように体を動かせない。その分馬は長い進化の過程で足が発達し、足を伸ばして速く走れるようになった。
 これを無理やり人間の体に置き換えると、“ウマ娘”のように股を開いた大きなストライドで走るフォームになるのではないか。

 飛ぶように走る『シンデレラグレイ』の描写

 5400万年前、馬のご先祖様は、中型犬ほどのサイズだったらしい。このときは蹄が前脚に四つ、後脚に三つだった。5000万年の間に、蹄が一つになり、人間でいえばつま先の指一本だけで立ち、走る姿になった。
 オグリキャップが主人公のオリジナル漫画版「シンデレラグレイ」では、より具体的な描写になっているが、ウマ娘はつま先で地面を蹴るようにして走る。これは馬やチーターなど、哺乳類が得意とする独特の走法「ギャロップ」に近い。
 一完歩の中で四本足すべてが地面を離れる瞬間を、「エアボーン」という。馬はそうやって地面に着地する瞬間を減らし、飛ぶように走る。

 ウマ娘は、人間の陸上選手だったらありえないような前傾姿勢でレースしているが、ウマ娘も疑似的なギャロップ走法により、絶えず爪先でジャンプしているのであり、そのため人間だったらありえないフォームでも走ることができるのではなかろーか。

 テイオーステップとは何か

 競走馬トウカイテイオーは、異常に柔らかい歩行をしている。
 ウマ娘の方でも、「テイオーステップ」としてアニメに出たり、アプリの固有スキルになった。
 馬において足腰の柔らかさ、特に前肢の柔らかさは、ストライドを大きくし、一完歩の距離を長くする。これがテイオーの強さの秘密であり、あのステップはただキャワイイだけじゃなかった。
 一方で、人間でもそうだが、ストライド走法は足に負担が大きい。馬が走っているとき、体重は6対4の割合で前足にのしかかるため、馬の脚の故障は、8割が前脚だという。
 トウカイテイオーは、それゆえに故障しやすかったということだろう。

 余談

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 この時点では、”ウマ娘”たちの走法が女子陸上まんまだった。(最後の直線で、前傾姿勢のもいる。頭を下げて沈み込むようなフォームで有名なナリブーと、あと誰?) 
 その後、美兎委員長が「馬に見える」という走り方に。

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 参考文献

 

図説 世界史を変えた50の動物

図説 世界史を変えた50の動物

 

 

 

 

 

www.nicovideo.jp

 過去記事

inunohibi.hatenablog.com

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