木村光彦『日本統治下の朝鮮』(中公新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期
日本統治下の朝鮮 - 統計と実証研究は何を語るか - 密林の図書室
日本統治下の朝鮮 - 統計と実証研究は何を語るか 感想 木村 光彦 - 読書メーター
木村光彦「日本統治下の朝鮮」は、ちょっと気になる本だが、購入するほどでもない(すでに、この手のデータを昔調べたことがある)。図書館で見ようと思うが、新刊なのでしばらく貸し出されっぱなしだろう。
今手元に本がないのだけれど、木村光彦氏は、アメリカ人歴史家エッカートの「日本帝国の申し子」の解説も書いていた。エッカート氏は、日本統治下の朝鮮半島で資本主義が大きく発達したと、京城(現在のソウル)の紡績会社と経営者一族の歴史を詳しく追って実証している。
最後に、短く駆け足ではあるが、戦後韓国の目覚ましい経済成長も、日本統治時代の遺産であったとエッカート氏は結論付けている。その後、日本統治時代から戦後韓国にかけて経済発展モデルは連続しているという見解は、新しい通説になったように思われる。しかし木村氏は、末尾の解説で、「北朝鮮に与えた影響はどうなのだろうか?」と問いかけている。
「日本統治下の朝鮮」は、韓国に対してよくわからない、そんな北朝鮮への「日本の遺産」に、木村氏自身が解答を出したものということだろう。
また、山辺健太郎氏の岩波新書「日本統治下の朝鮮」に対抗心をむき出しにしているのは、一人木村光彦氏のみならず、「中公新書が岩波の左翼イデオロギーを正す」という気負いに見えた。何しろ“中央”公論(新)社だからね。