馬と鹿と

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

ゴルシ、オペラオー、ロブロイ。史実を例に、ピークアウトを語る。(アニメ3期ウマ娘感想、その2)

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 ゴルシの衰えはわかりやすかった。

 まず皐月賞では、「ゴルシワープ」などと呼ばれる異次元のイン突きで、後続をちぎり捨て、2馬身半差つける差し切り勝ち。
 菊花賞でも、難所といわれる坂で一気に加速し、ロングスパートの差し切り勝ち。
この3歳時の圧倒的なパフォーマンスが、晩年だと影を潜めていった。

 最後のG1勝ちになった6歳の天皇賞・春では、最後方から徐々に上がってくる昔からの勝ちパターンだったけれど、2着とはクビ差で、かつてのようにライバルを突き放すスピードが見られなかった。

 ラストランの有馬記念では、はっきりと差し足が鈍っていた。これはアニメの3話でも描かれていた通り。

 それでも3歳春から活躍していた馬が、6歳でもG1を勝っていたのは驚異的なこと。サラブレッドの成長曲線から言って、6歳(旧7歳)になっても強い馬――たとえばゴルシの母父・メジロマックイーン――というのは晩成型で、3歳春はまだ強くないはずなのに。

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 ※そもそもステイゴールド産駒というのが、オルフェーヴルからしてクラシック三冠に、5歳のラストラン有馬記念で8馬身差の圧勝。競馬の常識を破壊する息の長い活躍だった。

 

 5歳秋のオペラオーやゼンノロブロイも、スピード競馬についていけなくなっていた。
 4歳の時は、有馬でタップダンスシチーの作ったハイペースについて行って、レコード勝利したロブロイが、5歳秋になると、ジャパンカップを典型に、レコード決着に置いて行かれている。

 ただまぁ、オペラオーの頃の和田騎手は「乗っかっているだけ」の騎乗だったけれど、長いキャリアを経て、ワンダーアキュートみたいに年を取ってズブくなった(スピードが出なくなった)馬で、必死にムチを叩いて勝つ泥臭いスタイルをものにした。
 和田氏本人が言うように、今の技術で5歳のオペラオーに乗れたら、違うかもしれない。

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 キタサンブラックにおいては、馬主の北島三郎氏が、5歳春まで「翌年も現役を続ける」と話していたけれど、夏以降「年内引退」に方針を切り替えた。
 このサブちゃんの方針変化を、「衰えを感じたので引退する」という設定にしたのかね。

 

 だけんどもしかし(かなざわいっせい風)、キタサンは、ゴルシやオペと重ならない。
 ピークアウトを描くなら、私たちファンの感覚込みでオペラオーがしっくりくる。「ロード・トゥ・ザ・トップ」の続編でよかったんじゃないでしょうか?

 ただオペラオーは、史実で和田騎手が20年経っても悔いているように、復活勝利できなかった。
 オペ&ドトウの引退後、ナリタトップロードが現役を続行して、京都大賞典などG2で下の世代に一矢報いたものの、とうとうG1を2勝目ともいかなかった。

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 オグリやテイオーに比べ、物語の主人公としては締まりが悪い。なのでキタサンブラックでピークアウトを描く…、ということかなぁ。