馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

「普通の人」ベルメリアと、「時の止まった人」プロスペラ。

 ペイル社に所属していたガンダム技術者であり、プロスペラの元同僚・ベルメリアは、プロスペラとの対比が良くできているキャラ。


 プロスペラは、「ガンドの理想を汚して許さない」とか、一部言ってることは正しかったり、家族愛の強い人であるけれど、目的のために手段を選ばず、躊躇せず罪のない人を巻き込んでいる。一貫して人間味を感じさせない。

 それに対し、ベルメリアは保身でペイル社に兵器技術を売り込んで、人道や倫理に反しているんだけども、人間味はある。
 歴史に例をとるなら、ナチ時代のドイツ人の記録「普通の人びと ──ホロコーストと第101警察予備大隊」を思い出すね。

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 キャラデザも、ベルメリアは小太りでリアルな中年体型、目の下や頬のたるみが年輪を感じさせるのに対し、プロスペラは、21年前のプロローグから一切老けてない若々しさ・美しさ、スタイルの良さで、別世界の住人って感じ。

 

 考えてみれば、エリクトは生身の肉体が衰弱して、はっきり言われてないけど、生物的には死んでいる。データストームの世界でかろうじて生きているから、肉体的な成長がない。
 スレッタの前に現れるエリクトは、イメージ映像的なもんかな、21年前の姿のまま。
この「時が止まった世界」を生きるエリクトと同様、なぜかプロスペラも、時の止まった姿をしている。

 プロスペラの内面を表現した比ゆ的なものか、SF的技術で老化が止まっているのか、不明だけど、話の最後に彼女らの「姿」がどうなっていくか、にも注目。