馬と鹿と野と郎の日記

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

テレビドラマ「二つの祖国」の感想 (※ネタバレ注意)

 原作・山崎豊子氏のドラマ、「二つの祖国」を家族が見ていた。前に録画していたにもかかわらず、重たそうなので見るのを後回しにしていたらしい。そして、その予感は当たっていた。
 (以下、ネタバレ注意)

 
 部分的に、依拠した資料が古いとか、解釈が古いと感じるところもあったが、テーマの骨太さは色あせていない。

 俳優ではないタレントもふんだんに起用されているが、違和感なかった。満州国皇帝・溥儀を演じる人が、元フィギュアスケーター織田信成君にそっくりだぞ、と思ったら本当に織田君だった。
 その他にも、広田弘毅を演じるリリー・フランキー氏が、雰囲気あって結構はまっていたり、ケント・ギルバード氏が主人公に対して米国への忠誠を問いただす上官を演じるという、皮肉な配役も面白かった。(今やすっかり日本の右翼や歴史修正主義者の口真似をしているギルバート氏なので。)
 しかし、登場人物の日系人たちがことごとく不幸な目に合っていき、最後には主人公の自殺で幕を閉じたことは面食らった。主人公に次々と苦難がふりかかる重厚な物語は、山崎豊子原作の特徴。とはいえ、「白い巨塔」において主人公の運命は、自業自得の面もあった。本作では、悪いことをしたわけでもない主人公が、とことん救いがなく終わる。
 大きな話題をよんだアニメ映画「この世界の片隅に」のように、戦火のもとでもほのかな希望や前向きな人間像を描く、最近の潮流とは全く違う。(「火垂るの墓」とか、かつての戦争体験者がかいた話って、ドライでとことん救いがない・・・。)
 観終わった後、父と母は「重たかった~」とげんなりした様子で、見ずに消せばよかったかも…とつぶやいていた。まぁしかし、日系人強制収容、原爆といった歴史上の大きな過ちの描き方としては、安易な救いがないというのも、教訓として正しいかもしれない。ぜひともアメリカ人にもみてほしい、と思った。
 今調べたのだが、原作小説は文庫で全4巻(字が大きくなった新版。旧版は全3巻)。テレ東版ドラマは長かったが、かつては大河ドラマの原作にもなっており、あれでも相当はしょっているようだ。そういえば、説明的で急いだような場面も多かった。