馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

政治小話「世界でいちばん完璧な国」その3

 某国は、世界で一番完璧な国である。

 前に大きな戦争をやった時は、似たようにクソ真面目な国と、真面目でもなく適当でだらけた国と一緒になって戦った。適当な国は「いちぬけた」と早くも降伏してしまったが、クソ真面目な二つの国は戦い続けた。

 「この戦争はもう負けだ」と思っても、クソ真面目なので途中でやめられず、歯を食いしばって戦い続けた。
 負けると今度は、完璧な国はパッタリと戦争しなくなった。この国の「ヒダリ」といわれる人たちは、一度戦争を始めると止められない国民性をよくわかっているので、「そもそも戦争を始めない」ようにしている。一度戦争を始めてしまうと、「ヒダリ」であろうがなんだろうが、上官の命令に従って粛々と人殺しをしてしまう国民性なのだ。

 適当でだらけた国の兵士ならば、気の向かない戦争はさっさと白旗を挙げて捕虜になってしまうだろう。もう一方のクソ真面目な国では、良心的兵役拒否とか、間違った命令に対する不服従の在り方が大事らしい。

 しかし完璧な国の「ミギ」といわれる人たちによると、そもそも国家が間違った命令をするはずもないので、良心に照らして考える必要はない。