歴史学の名著を今と結びつける

togetter.com

「貴様、歴史クラスタだな」
「いいえ、違います」
第二次世界大戦を始めた独裁者は?」
「まず、ドイツ問題が」
「連行しろ」
 はい、#歴史クラスタ狩り ネタでした。

 

 第二次世界大戦が、「邪悪な独裁者が始めた」で終わるのなら、歴史教科書は「戦争と人種差別を繰り返してはいけません」とだけ書いて、あとは白紙の束でいいだろう。現代史のトレーニングになる本、それがテイラー「第二次世界大戦の起源」のようだ。
 長いのでまだちゃんと読んでないが、本自体よりも、その後繰り広げられた「テイラー論争」のほうが意義深いかもしれない。
 テイラー本の何がセンセーショナルだったかという要約は、裏表紙に載っている。テイラー論争で正統な歴史学も修正・発展し、以下のような点はおおむね共有された。
 第二次世界大戦は、突然変異で生まれた「邪悪な独裁者」が起こしたのではなく、歴史的由来があること。由来があるからと言って、正しいとか仕方ないということにはならない。今でいえば、核保有の歴史的由来とか、アメリカや日韓との外交ゲームとか、北朝鮮問題を考えるヒントにもなるだろう。

 

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アオハル余談。

hatenanews.com

 あ、ほかにペーターがイケメン(美少年化)になっていた例、あったわ。今「アルプスの少女ハイジ」がアニメ化されたら、間違いなくハイジは美少女になるし、ペーターは美少年になるだろうな・・・。

www.cupnoodle.jp

 「魔女の宅急便」のCM。ホームページの動画再生できない。公開期間が過ぎた?
 「ストーリー」を見ると、「同じ高校に通う幼馴染のとんぼには、淡い恋心を抱いていた」 だからぁ、逆、逆~~~!! 「逆襲のシャア」は「シャアの逆襲」が日本語として正しいのでは? ってくらい逆。

アニメ「魔法陣グルグル」第11話

 ネットを見ていると、ときどき「コパール王国編までが好き」というコメントを見かける。俺っちはアラハビカ編も好きなのだが、アラハビカからメルヘンチックな描写が増えるし、一層ふわふわした世界観になるので、初期の作風が好きな人からは、賛否が分かれるのかも。
 これまで変なオヤジばかり出ていたが、おかしら(スライ)は稀にみるかっこいいおじさん。「魔法のようなあやふやなものを好まない」という、ファンタジーに染まらない硬派なポリシーもいい。
 だがしかし、グルグル世界のギャグ時空に巻き込まれて、大臣と憎まれ口をたたきあうシーンで股を攻撃され、ハゲカツラをかぶせられ・・・、と報われないことに(たぶん次回では、アヒル)。
 カマドウマというあだ名はひどいが、「便所コオロギ」でないだけ温情が感じられる。
 3期アニメでは、これまで「このギャグをカットするなんて残念」と思うことが多かったが、この回ではそういうこともなく、「ちゃんと拾ってくれた」という印象。「そういう嫌な役やってると真っ先に死ぬぞ」とか、メタすぎるギャグを削ったのも正解だと思う(好きだったけど)。

なぜハイジで「青春」なのか。

d.hatena.ne.jp

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 ワガハイも日清カップヌードルのCM、「アオハルかよ」を見たが、うーん、モヤモヤ。家庭教師のトライCMシリーズのように、意味もなくふざけて遊んでいることはない。が、ペーターがかっこよすぎる、という誰でも思うアニメ版クラッシュ以外にも、今風の美少女デザイン化されたハイジが、なんか落ち着かない。
 ところで昔の宮崎駿アニメを振り返ると、イケメンや美少年が出ていた記憶がない。そもそも宮崎作品は恋愛をメインで描くことがないのだが、多少恋愛要素が入っていても、「魔女の宅急便」のトンボみたいに、三枚目の軽薄な少年がヒロインに一方的に恋して、なんやかんやあっていい仲になる、という程度。

 後のほうになると、「千と千尋の神隠し」のハク、「ハウルの動く城」のハウルがいる。イケメンが出てくるのと反比例するかのように、ルックスが美少女っぽくない普通の女の子千尋とか、女性キャラクターにも幅が出ている。これはジブリ作品が国民的アニメになる過程で、「美少女とヘタレ男」という構図ばかりでは、女性受けが足りない、というマーケティング分析があったのかもしれない。
 とはいえ、斎藤環氏が指摘したように、「ハウル」も「ヘタレ男が女性に肯定される」というモチーフが入っており、声優にキムタクを起用しておきながら、男の欲望はきっちり満たしている。後期作品はオタクの間で評価が低いが、やはり宮崎駿監督は侮れぬ。
 話を戻す。ハイジ以外で、こういう設定にふさわしいジブリ作品は・・・、と思うと、かろうじて「未来少年コナン」が引っかかるけど、ヒロインの影が薄くて、主人公にはできないかな。

謎の「反細菌戦」キャンペーンと北朝鮮

www3.nhk.or.jp

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 夜にテレビニュースを見ていたら、安倍首相がインドの首相と会談したらしく、北朝鮮の核保有を共同声明で、「最大限圧力をかける」と非難していた。

 これは、ザ・ニュースペーパーのコントだったのか? インドこそ、北朝鮮と並んで、NPT(核兵器不拡散条約)を守っていない核保有国なのだが。

 NPTでは、国連安保理常任理事国と同じ5か国だけ核保有が認められているが、このほかにもアメリカにとってのイスラエルとか、核保有国でも「問題にされていない」例は数多い。要は大国様のお気に召すかどうかだ。

 北朝鮮がなぜ核を持ちたがるか、という理由はわかりやすい。朝鮮戦争という過去の歴史がある。

 朝鮮戦争で原爆が使用された可能性は、一般的に知られているよりも深刻だった。マッカーサーが原爆の使用を唱え、トルーマンに解任されたことは有名だが、次の新しいアメリカ大統領になったアイゼンハワーは、1953年に、やはり核兵器の使用を検討していた。その年のうちに停戦協定が成立して、結局使われることはなかったが、荒井氏は、「その記憶は、今日の核問題をめぐる北朝鮮の態度にも投影している」と書く。(荒井信一「空爆の歴史」、190~191ページ)

 もっとも、朝鮮戦争の歴史は、北朝鮮や中国の秘密主義で史料が公開されておらず、まだ謎が多い。1953年に中国共産党は、「反細菌戦」キャンペーンを始めた。アメリカが非人道的にも、航空機から大量の病原菌を持った昆虫をばらまいている、というのだ。中国の首脳部が本当に「細菌戦をされている」と思っていた証拠はあるようだが、アメリカ側に証拠はない。(和田春樹「朝鮮戦争全史」、第6章。)

 未解決の謎をはらみつつ、北朝鮮の安全保障イデオロギーが、「奴ら(アメリカ)はなんでもやるから、こちらもなんでもやらなければならない」と呪われたことは、容易に想像できる。

フランスの、ナチスと植民地支配への向き合い方。

www.nhk.or.jp

 今月の「100分de名著」は、ハンナ・アーレント全体主義の起源」をやっている。

 第2回では、欧米が植民地支配にあたって19世紀に生み出した人種主義が、ドイツでナチズムに発展した、という要約がなされている。

 ナチスは、ヨーロッパが非ヨーロッパを支配したやり方を、ヨーロッパ諸国に適用した。ナチスはヨーロッパ帝国主義の鬼子なのだ。このようなナチス論は、フランス領西インド諸島出身のエメ・セゼールが、「植民地主義論」で展開した西洋批判と通じているように見える。

 欧米の戦後の向き合い方をたどると、まずナチスの暴虐とナチスへの協力が反省され、現在、植民地支配も反省するかどうか、揺れ動いているようだ。

 熊谷徹「日本とドイツ ふたつの「戦後」」によると、フランスでは1995年にシラク大統領が、フランス人がユダヤ人の逮捕や強制収容所への移送に協力した責任を認め、謝罪している。そして、2013年にオランド大統領は、「フランスが植民地だったアルジェリアでとった政策は残虐で不当だった」と発言している。(129ページ)

 その後オランド大統領は、アルジェリア訪問の際に植民地支配を謝罪するか注目されたが、結局それはなかった。

 このように欧米の謝罪と反省は、まだまだ不十分である。しかし、ここらへんがよく勘違いされているが、欧米が過去を完璧に開き直っているわけではなく、反省に揺れ動いている以上、日本も開き直れるわけではないだろう。

 

 

帰郷ノート/植民地主義論 (平凡社ライブラリー)

 

 

日本とドイツ ふたつの「戦後」 (集英社新書)

日本とドイツ ふたつの「戦後」 (集英社新書)

 

北朝鮮はなぜ危ないのか(わかりきったことだが)

headlines.yahoo.co.jp

 北朝鮮の声明。

 「米国人を狂犬のように棒で撃ち殺さなければならない」「ジャップ」「ヤンキー」

 これはまごうことなきヘイトスピーチだね・・・。

 世間一般とは違う考えになるだろうが、「アメリカが核を持っているから、わが国も核をもつ」という理由だけなら、まぁまぁ筋が通っている。なぜ北朝鮮が核を保有すると「重大な脅威」になるかというと、「危ない独裁国家」というイメージが出来上がっているから。

 アメリカの核保有も、危ないことには違いない。トランプ大統領も危険人物だ。しかし北朝鮮となると、自由で民主的な社会の尺度で計れない。次元が違うのだ。インドみたいに、核保有は非難されているけど、国際社会とまぁまぁ協調している国もある。

 日本の北朝鮮シンパ、米津篤八でもなんでもいいが、彼らでも「北朝鮮の金一族崇拝は正しい」と擁護しない。口をつぐんでいる。そこが一番問題なのに。

 北朝鮮にやれる安全保障は何かと言ったら、異様な個人崇拝をやめて、自由で民主的な国になることだ。「アメリカが悪い」だのなんだのは、そのあとの話。