馬と鹿と

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

…というわけで、アニメ「呪術廻戦」2期の「懐玉・玉折編」終了。アニメで初見の感想。

 いやー、ひでぇ話だわ。

 実は原作漫画をしっかり読んでおらず、アニメで追いかけてストーリーをハアクしてたんだけど、好みの分かれるグロいテイストをおけば、クオリティーは高い。(前にもそれ言ったな)

 過去編ということで、作者も着地点を見据えてすっと書いたんだろう、密度が良かった。(地獄展開の濃縮でもあるわけだが…)

 

 呪術のような長文能力バトルの先行作ハンター×ハンター…ではなく、ハンタの作者・冨樫義博先生の「幽遊白書」(最初の大ヒット作)を思い出す展開ですね。
 人間の醜さを見て、打ちのめされてしまった仙水忍と夏油傑。幽助が言ったような「これだから真面目なやつは 極端から極端に走る」という闇落ちぶりが似ている。(幽助も五条悟のような、ふだん素行が悪くて、ふざけたり感情を隠さない性格)

 ただ、呪術の夏油の場合、悪い具合に「術師からは呪霊が生まれない」という独特の設定/世界観の中で、ブレーキがかからないまま――アクセルを踏ませる要素が続いて――「非術師がいなくなれば、呪霊も生まれない」という危険思想に結びついてしまった。


 五条悟は、前回能力覚醒した一時のテンションで、「こいつら殺しちゃっていいかな」というくらいだから、夏油と紙一重の差しかなかったはず。

 けれど、「不真面目な性格」だからこそ、呪術高専の教師をやりながら、ふだんから上層部に好き勝手盾突き、嫌いなやつへの悪態を隠さない。

 周囲はみんな「やばい人」って思ってるけど、結局そういう五条の方が一線を踏み越えないで、夏油の方が闇落ちしてしまったというのは、ちょっと考えさせられますねぇ。