馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

リフレ派は、いったい安倍政権の何を守りたいのか?

 

www.po-jama-people.info

 この記事でスクリーンショットされた一人一人のことは詳しく知らないのだが、ツイッターで政治系のトレンドワードを見るたびに話しに飛びついているアイコンがちらほらいる。根が軽率なんだな・・・。
 私も他人ごとではない、もともと軽率な性格だから。冷静に考えれば、朝日新聞がいつもいつもねつ造をしている社会のガンみたいな新聞紙だったら、今回の件といわず、もうとっくにつぶれているだろう。・・・というのが大人のバランス感覚だが、彼らはそれを見失ってしまった。

 マーシャルだったか、経済学者には「温かい心と冷徹な頭脳」が必要だ、といった。温かい心がなければ貧しい人を救おうとは思わず、書斎に閉じこもる空理空論の徒になるし、冷徹な頭脳がなければ、義憤だけで世の中を批判して、しばしば分析を間違ってしまうだろう。

 今回の朝日たたきには、多くのリフレ派が加わっていたことから「リフレ派最低」という声もある。反リフレでも、池田信夫氏のように言動に問題ある人物は、いくらでもいる。リフレのせいにしちゃかわいそうだし、リフレ派の中にも「貧しい人を救う」という温かい心があったはず。

 リフレ派が安倍政権を擁護するのは、「反リフレから安倍政権のリフレ政策を守る」ためだったはずなのに、身も心も安倍政権と同一化してしまったようで、現在は「安倍内閣に責任が及ぶ」ことを必死になって防ごうとしている。(例、田中秀臣氏とか。)
 しかし、現時点で文書改ざんの責任者といえる佐川宣寿氏を、「適材適所」で国税庁長官に栄転させたのは、安倍首相なんだよなぁ。安倍首相、麻生財務相が全く知らなかった、かかわらなかったというなら、それはそれでおそろしく人を見る目がなかったことになる。財務省憎しのリフレ派にとっても、それは由々しき事態なのでは? この期に及んで、「安倍総理に責任はないよー」というリフレ派は何を守っているんだ?
 馬淵澄夫氏は落選しちゃったけど、野党にもリフレ派はいる。安倍政権でなければだめなんだ、っていう理由はないよね。消費税も一度増税しちゃったし。経済の難しい仕組みはわからないが、リフレ政策を「いいな」と思っていた私でも、消費税増税で失望した。あれでアベノミクスはプラスマイナスゼロ、どころかマイナスだろう。

 今の日本の好景気や失業率の改善は、おそらく世界的な景気回復に助けられているだけで、日銀の物価上昇率2%も達成できていない。つまり、リフレ政策から見れば中途半端な政権を、リフレ派は全力で守りに行ってるわけ。
 どうしてこんなことになったのか、というのは、単なる物笑いの種ではなく、思想史的な考察対象になりえるだろう。