馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

「韓国を見ろ」というネット右翼。与党と金融庁に対し、「中国を見ろ」とはいってくれない。

togetter.com

 金融庁の「老後に2000万円必要」という報告書は、金融庁の釈明によれば、「年金制度の不備を突いたものではなく、資産運用をうながす狙い」だったそうだ。そして、にわかに投資クラスタは「そういうことだ、みんな投資しようぜ!」と活気づいている。
 ところで、労働者や野党に幅広く見られる「最低賃金を上げよ」という要求は、「韓国を見ろ」といわれる。右翼的な人によると、「韓国は、無能な文在寅大統領が最低賃金を上げた結果、失業率が上がった」らしい。だったら、金融庁や投資クラスタが個人投資をあおるのも、「中国を見ろ」といってくれる人がいないものか。
 中国ではもともと年金制度などの社会保障が弱く、その上一人っ子政策といった歪んだ人口政策の結果、少子高齢化が急速に進行し、高齢者の生活を保証できなくなっている。そこで中国政府は、国民に向けて金融投資をあおった。悪く言えば、投資バブルを作って、実体経済をごまかすやり方であり、FRB(連銀)のグリーンスパン議長がサブプライムローンで失敗したやり方に見える。実際、最近では中国経済の減速が深刻になってきた。どこまで持つのだろうか。
 そもそも、日銀が数年前から始めたマイナス金利の影響もあって、銀行の収益は悪化してきている。今、確実に儲かる投資先なんてあるのだろうか。安倍政権の政策的なつじつまが合わなくなっている(前々からだけど)。

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