馬と鹿と

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

辻元清美氏。追記あり。

 辻元氏は、過去にも秘書給与流用問題で議員を辞職するなど、わきが甘い印象。当時、本人が辞職に際して不満たらたらだったように(出した本のタイトルは「なんでやねん」だった)、前後に追及されていた鈴木宗男氏の疑惑に比べれば、小さなスキャンダルだった。
 しかしそれもある程度仕方ない。政治家というのは、「過去に不正はあったようだが、優秀」とか「代えのきかない人」と存在感を示すことができれば、選挙でまた返り咲く。
 当時は汚職や闇の金脈が散々問題になった田中角栄元首相も、ご覧の通り再ブームだし、今「違法、違法」と辻元批判で声のでかいネット右翼も、安倍政権は「他よりいいから・・・」と支持しているわけだし。ちゃんと実績があれば、多少のスキャンダルでも無問題。

 追記。

 辻元清美議員への外国人献金1万円をたたく人は、片山さつき議員(の秘書)が行っていたという口利き100万円と200万円、さらには森友学園への国有地8億円安売りのこと、100倍、800万倍非難して。

実質賃金をめぐる攻防。

 統計不正問題を受けて、野党は「実質賃金はマイナスだった」「アベノミクスは偽装されていた」と攻勢を強めている。しかし賃金がマイナスになっただけなら、前にリツイートした考えのように、労働者への給付金などでいくらでも政策的にリカバリー(補填)できる。
 公平を期して言えば、実質賃金のマイナス自体は、アベノミクスと関係ないかもしれない(政治でコントロールできない経済メカニズムだってある。当たり前だけど)。低所得者対策とか、そういうことをしていないから「アベノミクスは失敗だった」といわれるのであって、逆ではない。
 こんな言動が支離滅裂な政府でも、量的緩和さえやっていれば景気が良くなり、失業率が改善するのなら、やっぱり量的緩和はすごいのかもしれない。いや、アベノミクス懐疑派の私がいっても、皮肉にしかならんのだけど。

テレビスペシャル「ルパン三世 イタリアン・ゲーム」の感想。

 「ルパン三世 イタリアン・ゲーム」を見る。再放送。3年前の初放送の時は、観ていなかった。そのときは、忙しかったりめんどくさかったりしたような・・・。アニメオタクの例にもれず、昔「カリオストロの城」とか「ルパンVS複製人間」を面白くみたけれど、ルパンファンというほどでもない。
 ストーリーは、過去作のパターンを踏襲した王道で、特に意外性はない。作画も週1アニメだったシーズン4を一部使いまわしていて、「テレビスペシャルでも、これはちょっと・・・」という迫力のないシーンが目立つ。

 とはいえ、原点回帰を狙った線の太い荒々しいタッチはいい雰囲気だし、ゲストキャラのレベッカなども、声は新人の藤井ゆきよ氏だったが、違和感なく混じっていた。
 総じて、あんまり面白くないけど、ルパンらしい良さはあった。

風邪予防には歯磨きがいいらしい。


togetter.com

 (※前にも書いたことを一部省略。)
 「風邪予防にうがい」というのは、昔は必ず言われていたが、最近ではほとんど見かけない。一説には口やのどの菌は、うがい程度では落ちないらしい。私のかかりつけの内科医も、「うがい、あまり効果はないけど・・・」といってた。代わりというか、今は歯磨きが、口から胃や肺に流れる雑菌を減らすと脚光を浴びている。
 健康番組や医療番組で紹介される、新しい情報…。中にはこれから定着するものもあるだろうけれど、そんなの今すぐ飛びつかなくても、数年ゆっくり待てばいいと思っている。
 とはいえ、歯磨きなら金はかからないし、害もない。歯磨きを怠けるとすぐに口が臭くなるし、たまに歯間ブラシで歯と歯の間を丁寧に掃除すると、臭いにおいがする。なるほど、これがたまっていると体を悪くするのか、という説得力がある。

情報公開と民主主義。ベンジャミン・フランクリンの時代から。追加あり。


mainichi.jp

 辺野古反対派のリストアップや、東京医科大入試の問題は、異なるレイヤーの問題が重なり合って存在するが、今回は、情報公開の原則に反するという点にしぼる。

 東京医科大が「隠れて」女性を減点していたことは、エクストリーム擁護派ですら擁護していないので、議論で盛り上がっていない印象。しかし「隠れて」やっているからこそ、それに歯止めをかけるものも、何も存在しない。
 左翼の定番論法として、「やがて徴兵制が導入される」というのがあり、それに対して政府は、「憲法で禁止されている苦役に当たる」として否定している。左翼は「安倍政権のいうことなんて守られるか」と思っているし、私もある程度そう思っているが、少なくとも政府が明確に「やらない」といっていることの意味は大きい。
 隠すこと自体も問題があるわけだけど、隠されることによって、問題は先送りされる。たとえば東京医科大をはじめとした入試における女性差別も、やましいことだと思ってないなら、堂々と「女性は減点します」と入試要綱にでも記せばいい。もちろんそうであったなら、「女性差別だ」と早くから批判の声が上がっていただろう。そこから、女性が働きにくい医療業界の問題なども、もっと早くから改善が模索されたのではないか。
 女性の減点は、「出産で休むから」といった、とりあえずもっともらしい理由がつけられていたが、その説明責任は果たされず、浪人生の減点や、医科大OBの子弟の優遇といった問題まで存在していた。「女性の減点」が開かれた議論にさらされていれば、こういった際限のない差別や優遇もなかったのではないか。
 反対派リストアップは、毎日新聞のスクープだった。毎日がスクープしなければ、我々は知ることすらできなかった。そして知らなければ、議論は成り立たない。前に青識氏と論争になったこともあったが、その時点ではOB家庭の優遇といったことまで、差別の全容が明らかになっていなかった。だから今から振り返れば、どっちの主張も不完全な情報を基にした、不完全なものになったといわざるを得ない。

 ジェイコブ・ソール「帳簿の世界史」で知ったことだが、アメリカ合衆国憲法第1章9条7項には、「一切の公金の収支に関する正式の決算は、随時公表しなければならない」とある(文庫版、268ページ)。

 アメリカは自由の国といわれるが、自由や民主主義の基礎には、情報公開がなければならない。なぜなら、正しい情報がなければ、自由といってもそれは指図されない自由というだけで、自由に考え、判断する材料がないからだ。合衆国憲法制定会議で議論を調停したベンジャミン・フランクリンが、新聞紙の編集・発行人であり、大学や図書館の前身を作っていたことは偶然ではない。
 ある政策について、支持派もいれば、反対派もいる。政策を通すために、反対派もある程度説得できるような議論をしなければならない。それが民主主義だ。重大なことはシークレットで知らされていないが、なんとなくうまくいっている国、国民がそれを支持している国というのは、もう民主主義国家と言わない。

 

 追加情報。

mainichi.jp

じこぼう on Twitter: "毎度、こんなのばっかりですが、あんまりこんなのに馴らされた末に、社会全体が不感症になっていっているのが本当に怖い。→「反対派の男性が情報開示請求後に文書が書き換えられた疑い」/辺野古反対派の個人情報、書き換えて削除か 開示請求後、防衛局保有文書 - 毎日新聞 https://t.co/P2hTzRAUNa"