馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

古代の人類は、どのように方角を把握していたか。

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 アンデラのストーリーとは関係ない話だけど、「月と太陽以外の星がない地球の歴史」とは、どんなものになるだろうか。特に古代。

 古代の人類は、夜間になると空の星から方角を確認した。「北極星があそこに見えるから、あっちが北だな」とか。

 個人単位では、冒険心あふれる行商人が、星空を頼りに旅をしていただろうが、集団レベルで、あたりの見えにくい夜でも、多少無理して進むのは、軍事遠征となる。
 というわけで、「星のない並行世界(パラレル・ワールド)」では、軍事と戦争の歴史が大きく変わるんじゃないかと想像。

 

 もっとも、星は雨や曇りですぐに見えなくなってしまう。

 磁石に南北を示す性質があることを発見した記録は、中国が最も古い。戦国~先秦時代(「キングダム」の頃っすね)には、方位磁石(磁針、磁気コンパス)で方角を割り出していたという。

 ※あくまで原始的なもの。「世界三大発明」と呼ばれる形で有名な、遠洋航海にも使える方位磁石は、もっと後な模様。一方で、小島毅「中国の歴史07 中国思想と宗教の奔流」は、中国人は迷わない内陸水路や沿海航路を利用していて、あくまで遠洋航海の必要がなかったためとしている。(260ページ。私が持っているのは、オリジナルのハードカバー版。しかしオリジナルが絶版なので、下に張り付けたのは文庫版。)

 磁石の科学的性質と、人類が方位磁針を発見し、遠洋航海等に利用していった小史は、佐藤健太郎「世界史を変えた新素材」(新潮選書)も良い。
 文章が読みやすいし、選書なので値段もほどほど。

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