日銀の追加緩和不発。日経平均はちょっとしか戻らなかった。
アベノミクス(日銀の量的緩和)で株価が上がったことについては、「日銀のお金をつぎ込んでいるだけ」という批判があった。(アベノミクス批判派のエコノミストがよく言っていることで、立憲民主党の安住淳氏も言っていた。)
または、白川方明・前日銀総裁の、「(金融緩和は)需要の先食いに過ぎない」論とか。
素人にはどれが正しいのか、にわかに分からないものの、実体経済と関係なく吊り上げられているだけなら、いつかは下がる時も来る。今がその時なのだろうか。
なんか、日銀と黒田東彦総裁が、末期のFRB(アメリカの中央銀行にあたる)とグリーンスパン議長にダブってきた。アラン・グリーンスパン元議長は、9・11テロなど、立て続けに米国を襲った危機に対して、大規模な金融緩和を繰り返して不況を食い止めていたが、サブプライム・ローン問題とリーマン・ショックで破綻する。
危機の前からすでに、有力なエコノミストが、「不動産バブルの傾向」を指摘して懸念していた。その作られたバブルの寒い内実は、映画「マネー・ショート」で戯画的に描かれている。
根本的な問題は、低所得層への福祉を削減した一方、アフガン、イラクでの浪費と赤字など、ブッシュ政権の失政でアメリカ経済の実体が伴っていなかったことだった(クルーグマン「嘘つき大統領のデタラメ経済」や、スティグリッツ「世界を不幸にするアメリカの戦争経済」など)。
政治や経済が大きな間違いを修正できないとき、中央銀行程度が手段を弄しても、どうにもならないかもしれない。もしうまくいったとしたら、それはある種の社会主義革命だった。