馬と鹿と野と郎の日記

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

走らない名作

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太宰治 走れメロス

 「走れメロス」ほど、読む前のイメージと実際読んだ時のイメージが違う古典も、珍しいのではないか。まず、ヨーロッパの昔話か何かと小さいころ思っていたが、作者は太宰治であるし、「友人のためにメロスが走る話」かと思っていたら、メロスが友人を身代わりにしただけで、しかも眠りすぎたり、のんきに小唄を歌ったり、そんな必死に走っていない。

 ちまたよく言われる「友情のすばらしさ」ではなく、メロスの情けなさだけが際立つ。これは太宰治一流のアイロニーだったのかな? (文芸評論家の斎藤美奈子氏も、「友情」とは異なる解釈をしている。)