馬と鹿と

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

北欧諸国と日本が違う理由を、ちょっと考えてみる。

 

 一見もっともらしいが、よく考えてみるとちょっとおかしい。

 日本なら、商品の選択肢は豊富かもしれない。北欧には、日本の漫画・アニメのように、世界に受ける商品が北欧にはないかもしれない。しかしライフスタイルやライフコースの選択肢は少ない。

 日本だって社会的な同調圧力が強く、個人が「空気を読む」文化があるので、実質的な選択肢は乏しいのではないか。そして幸福度は低い。

 マイケル・ブース「限りなく完ぺきに近い人々」によると、北欧諸国の生産性は低く、やっているドラマはつまらないらしい。本当にそれだけで、幸福度に違いが出る?

 北欧の福祉国家と、日本の大きな違いは何だろうか。私なりに想像すると、人口規模ではないか。福祉が充実していることで有名なヨーロッパの国は、ノルウェーが508万人、スウェーデンが960万人、フィンランドが546万人、デンマークが560万人、オランダが1680万人。対して日本は1億2千万人だ(2013年のデータ)。
 北米においては、カナダに比べてアメリカ合衆国で自己責任の風潮が強いわけだけど、カナダは3515万人で、アメリカ合衆国は3億1千万人以上。やはり人口が大きく違う。20世紀後半、福祉国家は「役人の利権を肥大化させているだけだ」等々批判されたが、直感的にいって小国のほうが政府の透明性が高く、福祉が効率的になりそうだ。

 日本の場合、地方分権がもっと進めば、地域単位で福祉共同体も可能かもしれない。現状は地元のことになるほど市民は無関心で、国政選挙に比べて地方選挙の投票率が著しく低い。