馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

陸軍(旧日本軍)の階級一覧表。追記あり。

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 「ゴールデンカムイ」のような話を見ていると、階級の上下とかが「よくわからん」という人のために。(戸部良一「日本の近代 9 逆説の軍隊」、39ページから転載。)
 ゴールデンカムイの登場人物でいえば、下から順に谷垣一等卒(のちの一等兵)、尾形上等兵、玉井伍長、月島軍曹となる。

 ちなみに、他国の軍隊は(これまた)国や時代によって階級の種類が違うので、一概に日本軍と対応するわけではない。熊谷直「日本の軍隊ものしり物語 1」によると、海軍においては明治19年に、モデルとしていたイギリス海軍にならって、中尉と中佐が廃止されたことがある。しかし、これでは日本の陸軍と同一の階級が不在になるため、明治30年に元に戻された。(48ページ)
 悪名高いあのアドルフ・ヒトラーが従軍していた時の階級は、「伍長」と訳されるのが一般的だったが、最近の歴史書では「上等兵」が多くなっている。他国の階級を日本語訳する難しさがしのばれる。

 追記。

 ちなみに、一等卒、二等卒の「卒」という呼び方は、江戸時代の足軽や同心を意味する。足軽は通常家を継ぐことはなく、一代限りの武士であり、藩によっては名字を名乗ることも許されず、厳格に差別された。そのためにこれを気にする兵がいるということで、当時の宇垣陸相が変更した。(熊谷直「日本の軍隊ものしり物語 part1」57ページ)
 軍隊は建前上平等。戦前の軍隊も、結構ポリコレを気にしていた、という例かもしれない。