馬と鹿と

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

原作との比較も交えて。アニメ「ダンジョン飯」第23話「ヒポグリフ/ダンプリング1」の感想。

 23話の前半Aパート(ヒポグリフ、センシの過去回)は、原作既読組から「~がカットされたのは惜しい」の感想多し。私も屈指の良エピソードだと思うので、残念なのは分かる。

 たとえば、原作漫画(7巻49話)から、チルチャックの推理部分がカットされたことで、アニメはライオスの一人推理になって、絵が地味になってしまった。

 ただし、ライオスがチルチャックを上回る知識(出身地に生えていたことで、チルは一応知っている程度のキノコを、ライオスが詳しく解説)と推理力を発揮し、オーバースペック(コミュニケーション以外)を見せつけるため、一種チルの格落ちになっているシーンだ。

 これから原作後半戦では、「さすが主人公…」というほどライオスの活躍がてんこ盛りなので、今回名推理が圧縮されたのも、まぁ我慢できる範囲。


 個人的には、原作(同49話)ギリンの「センシは今色んなことを学んでいる。俺たちは今食い物しか探せないが、迷宮のことを覚えていけば、あいつが出口を見つける鍵になるかもしれない」というセリフがカットされたのが残念かな。

 ギリンが、戦力にならないセンシに優先して食事を配っていたのは、「大人の俺たちが面倒を見る責任」という倫理観だけでなく、じり貧になる中、脱出のため賭けた可能性だった。
 あのギリンのセリフを聞き、センシの中でも、暗号解読への使命感が沸き上がったと思う。

 

 結果的にセンシは、脱出に成功した(途中オークに捕まったものの、ここでも古代ドワーフ語の知識が活きる)。
 ギリンの期待に応えられたのだ。

inunohibi.hatenablog.com

ジャンプ漫画のアニメ化だったら…?

 これがジャンプアニメだったら、原作のストーリーをゆっくり消化してくれたのか~、と思ったりするけど、原作を水で薄めたような進行の上、原作が完結しているのにアニメ完結までまだ時間のかかりそうな〇滅みたいなパターンはやだな~、という気持ちもあり。

ドラクエ6で言えば、ハッサンが強制イベントで魔法使いにさせられた状態(例えが古い…)。

 後半Bパート「ダンプリング1」は、「チェンジリング」によるPTメンバーの種族入れ替わり。
 単にギャップで笑わせるだけでなく、種族ごとの特徴を際立たせる、変わらぬギャグと世界観構築が一体になった作り。(まぁセンシだけ、ギャグに全振りっぽい)

 

 マルシルが爆発魔法一発で魔力酔いを起こしたように、ハーフフットは種族的に魔法に向いていない。
 嗅覚や聴覚の鋭さが、ダンジョン探索には向いていても、魔法に向いていないのかな。

 チルチャックが「(魔法は)専門外なんでね」とまるで興味を示さなかったり、カブルーPTにいたハーフフットも魔法を使えなかったのは、個人的才能だけでなく、種族上の適性も表しているようだ。

 今のライオスPTは、「半端に向いてないクラスに転職しちゃって、戦闘困ってまーす」(ラノベ風)な、RPG初見プレイあるあるにはまっている。

 俺もドラクエ6でハッサンが強制的に魔法使いに転職させられて戦うイベントとかあったら、きついと思うわ。

 

 また、ドワーフで言うと、センシは重装備、ライオスもトールマン時の感覚でセンシの装備を引き継いで戦ったら、すぐに腹が減った。
 ナマリが軽装だったのは、いわゆる燃費の悪い体質に合わせていたから?

 センシたちみたいに、魔物を食べる変人でなければ、ダンジョンでは食料が手に入りにくい。
 ナマリはファリン、再登場時にはタンス爺さんなど、回復役とパーティーを組んで入っているので、被ダメージよりもそっちを気にしているのかもしんない。