「蒼炎の軌跡」は、シリーズ全体の中でもストーリーとゲーム性のバランスが一番いいと思っている。
支援会話や隠しマップも込みで言うと、烈火の剣に一番愛着があるけれど(だから烈火画像ばかりUPする)、「自力で行かせる気ないだろ」という隠しマップ(ヘクトル編19章異伝)への分岐条件や、組み合せによっては一段階進めるのに80あまりターン数のかかる支援システムで、損している。
蒼炎は、仲間にしたキャラの有無、ロストの有無で会話内容が多少変わったり、「漆黒の騎士を倒したか、倒してないか」で分岐があるものの、基本的に一本道のストーリー。
※残されたままの伏線も存在するが、蒼炎から3年後を描く続編「暁」で明かされる。
つまり、とりあえずマップをクリアしていき、エンディングまでたどり着けば、ストーリーがほぼ見れる。これは烈火から大きい改善だった。
周回要素は、2周目から固定成長を選べるようになったり、(封印と同じく)トライアルマップで使えるユニットが増えたり、主にシステム面。
マップのアイディアでは、ifの暗夜ルート、完成度でエンゲージも素晴らしかったし、特にユニット育成の自由度と、それに伴う戦略の幅広さは、シリーズ最高峰に位置する。
が、よく言われたようにストーリーがやや単調で、好みが分かれた。
蒼炎では、聖魔で試みられたCCの際、二つの上級職から一つを選択する兵種複線化が廃止され、「ラグズ」という特殊なユニットを導入したためか、人間(蒼炎世界では「ベオグ」が中立的な名称)の兵種が従来より整理縮小されている。
たとえば、シリーズお馴染みの「傭兵・勇者」が廃止され、剣歩兵が「剣士・ソードマスター」に1本化された分、育成自由度が後退している。
※一応「勇者」は、アイクの父・グレイルの専用クラスとして残っているが、ゲーム内でグレイルは、チュートリアルの序章にしか出てこない。
完全新規タイトルでクラス複線化が復活するのは、「覚醒」以降だった。
しかし、ストーリーとゲーム進行のシンクロ感は抜群。
これまでの主人公と違って王侯貴族ではなく、「傭兵団団長の息子」程度のアイクは、実力で周囲に認められていく必要があり、それが頭を使って自軍を操作し、マップをクリアしていくプレイヤーの「やり応え」とつながる。
それでいて、ギャグも豊富。極度のナルシズム、めちゃくちゃな言動で、前半の山場に笑いも取ってくる自称「美の守護者」オリヴァーに、制作が意図したか不明だが、通称「しっこくハウス」「ボルトアクス将軍」などのネタ要素。
「本筋のシリアスを壊さず、中ボスやわき役で笑いを取る」という硬軟織り交ぜが出来ている。
ただ、蒼炎は、ノーマルでの索敵マップ廃止、某仲間キャラの寝返りというトラップイベントもハード以上のみ、といった難易度調整がされているものの、「普通の人」からすれば、まだ難しいだろう。
ライトユーザー&新規開拓としては、「覚醒」以降が正しかったと思う。セールス回復もそこにあるはず。
今、リメイクしたりリマスター移植するなら、海外版で復活したソドマスの必殺ボーナスだけでなく、シリーズ近作のような初心者救済措置も必要だわね。
あと、蒼炎では珍しく純粋な「イラナイツ」になっていたサザ(出番があるとすれば、ノーリセットプレイでフォルカをロストした時くらいだろうか)の改善など…、お願いします!
支援会話について
支援会話は、GBA時代と変わらず最大5回で、一度のプレイですべて見ることはできない。
けれども、発生条件が変わって作業的ストレスがなくなり、また、GBA時代は多すぎたくらいの組み合わせが、だいぶ絞られている。
基本的に、後半加入の仲間ほど相手が少ないが、「他人と打ち解けない」タイプは重要キャラでも1~2人。
例として、参謀役のセネリオが2人(うち一人は隠しキャラであり、「アイク以外に心を開かない」という性格設定が支援にも反映されている)、フォルカがたった1人(その内容は続編暁への伏線で、重要度が高い)となっている。
会話内容の「質」は、落ちてないと思うが、「量」の少なさでファンの印象が薄くなったかもしれない。
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やりやすくなったリマスター版「サガ」
他のゲームで言うと、難しいことで鳴らしていた「サガ」シリーズが、Switchの「ミンサガ」リマスター版、およびロマサガ2のリマスターをざっとやった程度だけど、「強くてニューゲーム」的なパラメータ引き継ぎ再スタートが、どこからでもできるおかげで、気になるルート分岐の網羅や、やり直しが格段に楽になった。
また、ゲーム内に分岐したストーリーが記録されて、いつでも読み返せるモードがあり、周回プレイのモチベーションを上げている。