馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

話の粗、一方で満載な見どころ。遅ればせながら「機動戦士ガンダム 水星の魔女」18~19話の感想。

 すでに言われてて、ワイも思ったこと。
 ・情報が…、情報が多い!(ついでに分かりにくい)
 ・あーもう、メチャクチャだよ。→やっぱり「コードギアス」を書いた大河内サンの脚本やな。

 アニメのストーリーは、脚本家だけで作ってるわけじゃない(らしい)。監督が脚本家と話し合って考えるパターンもあり、、更にメインスタッフを交えてアイディアを出したり、脚本を容赦なく自分流に修正する監督もいる(押井守監督が、自分のことをそういっていた)。
 で、コードギアスとは監督ほかスタッフが違うのに、重要な局面で「大河内色」が強い強い。


 いやー、大河内一楼氏、一応鬱じゃない脚本もやってるんだけどね、ギアス以外は伝聞にすぎんけど、革命機ヴァルヴレイヴ(ヴヴヴ)とか、ロボットが出てくると鬱度が高まるようだ。

脚本、大河内一楼による仲間に裏切られたイカれたロボアニメ主人公達を紹介するぜ!!! : あにまんch

inunohibi.hatenablog.com

 ワイの見たアニメで言うと、キングゲイナーはロボットアニメだけど白かった。ターンAやエウレカセブンは、複数いる脚本の一人くらいなので、除外する。

ja.wikipedia.org

 

 さて、分かりにくさ…、なーんか情報が頭に入ってこなかったこと、について。
体型が似てるからって、ファンが「(スペース)マツコ」と呼んでるフェン・ジュンのいうことが、繰り返し見ないと理解できなかった。
 なんでかと考えるに、フェンのセリフとプロスペラのルブリス生産工場襲撃によって、急速に黒幕というか、真の悪役として浮上してきた「宇宙議会連合」が、記憶に残るキャラといえば当のフェン女史くらいだったから。

dic.pixiv.net

 組織関係図が複雑なだけでなく、ちゃんと描き切れてない。話はまだ終わっちゃいないけど、残りの話数でこれまでの伏線を回収し、議会連合のことも描き、決着をつけるなんて、無理でしょう…。(一部ファンの予測では、劇場版に持ち越されるのでは? と)
 ベネリット・グループと「御三家」三社なら、特徴的な容姿、または性格をしたCEOが出てきて、それぞれの名前を覚えなくても、「気味の悪い顔色したお婆さん4人組」とか、「息子を上から目線で叱ってばかり、威圧的なグエルの親父」とか、キャラクターごとに覚えられるようになっていた。
 ワイもそれを頭に入れてから、順に会社の名前とか覚えていったから。
 ところが、(個人的に)「戦争シェアリング」等が言われだしたあたりから、「セリフでしか語られない設定」が増えていって、「絵やキャラクターで覚える」ことができなくなってきた。
 宇宙議会連合の分かりにくさも、それだ。

 

 まぁそれくらいの説明不足感なら、ガンダムシリーズによくあることか。ただ、肝心のストーリー展開も、穴が目立ってきた。
 たとえば、ミオリネがアーシアンとの交渉に失敗したばかりか、アーシアンを殺しまくったみたいに誤解されてしまったのは、プロスペラが勝手にドンパチやったせいなんだけど、もともとミオリネはプロスペラのことを、「あんたがスレッタをおかしくさせた」と警戒していた。
 プロスペラは「ガンドの理想」を語って、とりあえずミオリネをビジネスパートナーとして抱き込むことに成功したが、その後もミオリネらに何も伝えず他社に技術提供していたり、ミオリネは「何やってんのよ!?」と(当然)怒ったし、ミオリネがプロスペラに対して気を許す理由は何もない。
 それを、なぁーんでエアリアルに乗って同行することまで許したのか。

 プロスペラは、まぁうん…、「目的のためには手段を選ばない」オーラ出していたから、19話のひどい行動も、悪い意味でイメージ通りというか、本物エラン・ケレスのセリフ「俺の言ったとおりになったけど どうするの、これ」状態。
 スレッタを巻き込まずにやったのが、せめてもの情けだろうか。
 とはいえプロスペラは、本人の意志がプロスペラと一致しているのだろうけど、エリクトは巻き込んでやっているし、すでに1クールの終わりで、スレッタを戦い(人殺し)に使っていたからね。
 やっぱり「1番じゃないやり方だけど…」程度の穏やかな人じゃないよ、プロスペラ。

 

 しかし、「だから興ざめ」というわけでもなく、変わらず見どころは豊富だった。
 18話の、製作者のギャグか、スパイ的な情報収集に見えた「懺悔室に突然出てくるセセリア」が、まったく意外なことに、マルタンの悩みを的確に分析して、助言したこと。
 心カラッポの引きこもり状態になっていたスレッタと、ついにニカ通報のことを打ち明けたマルタンを、地球寮のみんながそれぞれの言葉で迎えるシーン。
 プロローグ(0話)から21年後、すっかり太って、またしきりにおどけるケナンジ(グエルも「よくわからない人だ…」状態に)が、「フォルドの夜明けに属する少年」の「プリンス」ほか、わずかな言葉で重大な事実をかぎつけ、やはり切れ者だったことを見せるシーン。
 CVさん迫真の演技が光るノレアと、エラン5号。

 これらが面白かったので、「脚本に穴がある、ダメだ!」とまでは思わなかった。

 

 いやぁ思えば、コードギアス1期も、アラの多いストーリーと設定でありながら、バラエティ豊かなキャラや目まぐるしい展開で、目が離せなかった。
 ただ、後半にあたる2期では、合計4クールの長さでネタ切れしたのか、見どころが乏しくなり、破綻したストーリーが辛かった。(締めだけはそれなりに良かったと思う)
 乱暴に言うと、水星の魔女は「ダレのないコードギアス」って感じ。難点はほとんど変わらず。

 まぁ、まとめなり総括は、全部終わった後にしよう。