馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

「なぜ?」というレース選択から、二刀流が生まれる。

 最初にパンサラッサがサウジカップ(ダート1800m)に出走すると発表されたとき、「なぜダート?」と頭の上にクエスチョンマークが浮かんだファンも多数いた。
 すでにマルシュロレーヌで、海外ダートG1優勝という快挙を成し遂げていた矢作芳人調教師だったが、マルシュはもともとダート馬だった。それに対し、パンサラッサのダート適性は未知数。というか、一度だけ走ったダートの師走Sは、11着に惨敗していた。

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 しかし、結果はご覧の通り。アグネスデジタルがそうであったように、疑問や不安を押しのけて挑戦するレース(または謎ローテ)から、芝・ダート二刀流の名馬が生まれるということか。

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後出しじゃんけん血統論

 パンサラッサの父・ロードカナロアの産駒には、JBCスプリントを勝って、先週のフェブラリーSで2着に入ったレッドルゼルがいる。
 ロードカナロアの父、つまりパンくんの祖父がまた、芝・ダート問わず名馬を送り出した大種牡馬キングカメハメハだった。
 ウマ娘で人気爆発、今や地域おこしの星になろうとしているホッコータルマエや、記憶に新しいところでは、去年チャンピオンズカップを勝ったジュンライトボルト、ダートG1(級)4勝に加え、ドバイWCに二度挑戦して2着、3着に入ったチュウワウィザードも、キンカメ産駒。

 

 かつては、スマートファルコンでもホッコータルマエでも、いくらでも例があるんだけど、日本のダート最強馬は、海外ダートで実績を残せなかった。
 「そもそも、日本のダートと海外のダートじゃ全然違っていて…」「日本のダートはガラパゴス」と言われていたけれど、矢作厩舎を見るに、「関係者の工夫次第で海外ダートG1は勝てる」ということだろうか。