馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

この際だから、よくある「マツクニ(松国)ローテ」に対する誤解をといてみよう。※加筆修正あり。

 >シンザン記念が「活躍につながらない」というジンクス。

 単純に時期と距離が微妙だったんやろねぇ…。
 牡馬がクラシックを見すえるなら、12月に、皐月賞と同じ中山2000mのホープフルS(旧ラジオたんぱ杯)があり、2月にダービーと同じ東京競馬場共同通信杯がある。シンザン記念は、その間の1月だからね。
 タニノギムレットは、現代競馬の常識を無視した過密ローテーションだったしなぁ。
 しかし、アーモンドアイのように、桜花賞やマイル路線も見据えたステップとしては悪くない。

 

 ※ところで、ギムレットのローテーションを「マツクニ(松国)ローテ」という人は多いんだけど、本来のマツクニローテってのは、「マイルとクラシックディスタンス両方のG1を勝つことが、種牡馬価値を高める」という理論だから、皐月賞は無理して狙わない。
 マツクニローテの模範型は、皐月賞を回避したキングカメハメハのはずだ。(クロフネの時代は、まだ出走規制と条件が複雑で、外国産馬がダービーに出られるようになったものの、皐月賞には出られなかった)

キングカメハメハ | 競走馬データ - netkeiba.com

 ギムレットのローテーションは、たぶん馬主・谷水雄三氏の方針も大きかった。
 同じ谷水氏が馬主で、厩舎が別(角居厩舎)のウオッカも、過密ローテーションだった。(3歳の牝馬宝塚記念に出てくるんだもんなぁ…)

db.netkeiba.com

db.netkeiba.com

 「マツクニローテで故障馬が続出した」というイメージが強すぎるので、松田国英元調教師の名誉のため付け加えると、松田氏は厩舎改革を先頭に立って実践した人であり、そのため勤めていたスタッフから、先述のウオッカで知られる角居勝彦元調教師や、今を時めく友道康夫調教師といった、優秀な人材が現れている。

ja.wikipedia.org

ja.wikipedia.org

参考文献

関連記事

inunohibi.hatenablog.com

追記

 なんか忘れていたけど、私が持っている本の範囲で「マツクニローテ」についてもっとも詳しく書いてあるのは、「Number」978号。

https://www.amazon.co.jp/Number-978%E5%8F%B7%E3%80%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%BC%E9%9D%A9%E5%91%BD%E5%85%83%E5%B9%B4%E3%80%82%E3%80%8D-Sports-Graphic-%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF/dp/B07R76KVRP/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=M6BR3F683IZ8&keywords=%E3%80%8CNumber%E3%80%8D978%E5%8F%B7&qid=1673690859&sprefix=number+%E3%81%AE978%E5%8F%B7%2Caps%2C325&sr=8-1

 “有望な牡馬に、皐月賞ではなくNHKマイルCを勝たせようとするのは、「その方が種牡馬としての価値が上がるからです」とキッパリ言う。マイルで強さを見せられるスピードの裏付けが、今後の種牡馬の勢力争いで大きな武器になると見込んでいるからだ。”(42ページ)