馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

母系は短距離馬だった…? ゴルシ、ジャスタウェイら「2012年最強世代」の頂点に位置する名牝、ジェンティルドンナ。※9日に追記した。


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ジェンティルドンナ|名馬メモリアル|競馬情報ならJRA-VAN

 ジェンティルドンナは、海外レースをふくめたG1・7勝で、これはディープインパクト産駒の中で最多を誇る。(次にG1・6勝のグランアレグリアがいて、その次が5勝のコントレイルとなる…はず。何しろディープ産駒は活躍馬が多いので、チェック漏れがあるかも)
 母のドナブリーニはイギリスで走り、芝6ハロンのスプリントG1、チェヴァリーパークステークスを勝った名牝。他にG2を一つ、計11戦4勝、重賞勝ちは6ハロンまでである。
 ドナブリーニの父の父は、産駒が世界的に短距離で活躍した名種牡馬ダンジグ(ダンツィヒ)で、日本調教馬としては、海外でばかり強かった「98年黄金世代の外弁慶」アグネスワールドや、G3ならヒシアマゾン に勝ったこともある短距離界の善戦マン、ビコーペガサスがいる。
 ドンナは、「母系の血統から言って、距離が持たない」ということもなく、ファンはここで学習しておけば、キタサンブラックで底の浅い血統論をぶって恥をかくことはなかったろうに…。

 

 「牝馬が強い時代」を代表する名牝である。ネタで言うと、物理的にも強かった。3歳で古馬勢に混じってジャパンカップに出たときは、最後の直線で、馬体のぶつかったオルフェを弾き飛ばして優勝している。

 オルフェーヴル陣営から批判が出たけれど、無関係なファンからは、「4歳の牡馬が3歳牝馬に押し負けるのかよww」と笑いを誘った。


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 それはともかく、ウオッカブエナビスタが5歳の時、やっとこさ、という印象で勝ったJCを、3歳牝馬でやってのけたのがジェンティルドンナだ。
 外国馬をふくめ、3歳牝馬での優勝はJC史上初(不思議なことに、それまでは4歳牝馬も勝っていない。ただ、ブエナビスタは4歳時、1位入線で降着している)。

 定量戦は、牡馬より牝馬が2キロ軽く、古馬よりも3歳の方が2キロ軽くされるとはいえ、「牡馬と互角、対等に渡り合う」どころじゃない牝馬の出現は、衝撃だったと語り継がれている。晴れて2012年に3歳だったゴールドシップジャスタウェイら、「新・最強世代」の筆頭に位置付けられた。
 ※2012年世代の中から、顕彰馬(殿堂入り)に選出されているのは、ジェンティルドンナのみ。


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 「ジェンティルドンナ」とは、「貴婦人(Gentildonna)」という意味らしいけど、ムキムキの馬体と前述したフィジカルの強さで、ファンから「鬼婦人」というあだ名が付いてしまう。

 

 ちなみに、このJC時、オルフェーヴルは馬体重458キロ、斤量が57キロ。対してジェンティルドンナは、馬体重460キロで斤量が53キロだった。別にドンナがでかいわけじゃなくて、オルフェが(21世紀の名馬としては)小さい。

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 オルフェは、やや軽い馬体を補って余りある身体能力があり、主戦の池添謙一騎手は、調教でもレース後でもしょっちゅう振り落とされ、担当した厩務員兼調教助手も傷が絶えなかったらしい。
 オルフェの全兄・ドリームジャーニー、父・ステイゴールドも、小柄だがバネの強い馬だった。(これがゴールドシップになると、母の父・メジロマックイーンの体格と毛色の方を継いでいる)


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 斤量の詳細については、こちらの動画を。


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追記、競馬用語辞典の解説。

 ”負担重量のこと。現在はキロ制が採用されているが、初期の競馬は80斤、90斤といった斤(0.6キロ)が単位だったので、これが現在でも負担重量の言葉として残っている。”

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