第一次大戦後にできた国際連盟は、大戦の戦勝国で構成され、常任理事国はイギリス、フランス、イタリア、日本の四カ国だった。(提案者のアメリカは、加盟を議会で否決されたため参加できず)
それから知ってのとおり、日本が満州国をめぐってキレて脱退し、ファシズム政権になったイタリアが脱退し、最終的に残った常任理事国はイギリスとフランスだけだった。
百科事典マイペディアの記述。
”理事会は第1次大戦の主たる同盟・連合国たる4常任理事国(日本,英国,フランス,イタリア。のちドイツ,ソ連が加わる)と総会選出の4非常任理事国(のち9ヵ国)で構成,
(…)提唱国たる米国が加盟せず,日(1933年)・独(1933年)・イタリア(1937年)の脱退やソ連の除名(1939年)などのほか,規約違反国に対する制裁規定の不備もあって政治的問題の処理には無力だった。”
第二次大戦後は、これまた大戦の戦勝国5カ国で常任理事国が構成されたわけだが、冷戦時代の国際連合は、アメリカ・ソ連両国が拒否権を発動しあい、満足に機能しなかった。
89年の米ソ両国政府による「冷戦終結」宣言によって、国連の正常化が期待された時期もあったが、従来の枠組みはどう見ても限界に来ている。
一方で、一部の物知り風ネットユーザーが言うような、「国連はしょせん第二次大戦の戦勝国クラブ」というのも正しくはない。2002年、永世中立国のスイスが、国民投票の結果を受けて国連に加盟している。
”2002年 国連加盟(190番目の加盟国)”
問題はやはり、安保理常任理事国の権限が強すぎることだ。
近年では、ロシアがらみは中国が拒否権を発動し、中国がらみになればロシアが発動してくるのが常だった。
ただ、今回のロシアによるウクライナ攻撃に対しては、ロシアを非難する決議が、安保理常任理事国の拒否権関係なく、理事会(非常任理事国)の賛成多数で可決された。多少改善されているのか。
国連改革・安保理改革
常任理事国以外の国から、国連改革の必要性が言われて久しい。このように… →
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100148189.pdf
"主な論点として、①新理事国のカテゴリー(常任・非常任どの議席を拡大するか)、②拒否権、③地域ごとの代表性、④拡大後の総数と安保理の作業方法、⑤拡大後の安保理と総会の関係等について議論が行われてきた。これら論点について各国の意見と利害が複雑に絡み合っている。"
常任理事国の拒否権について。一部抜粋。
”拒否権は廃止すべきだが、存続するのであれば新常任理事国にも拒否権を付与”
→アフリカ諸国、カリブ海地域、およびL69(途上国グループ約40か国)の立場。
”全常任理事国が行使を抑制”
→UFC(イタリア、パキスタン、韓国、メキシコ、アルゼンチン等12か国)の立場。