馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

さまよう保守派。

 保守派の価値観が、袋小路に入っていると思う。

 時代の流れで保守派も「多様性」を否定できなくなった。菅総理日本学術会議の任命拒否問題で、「多様性を確保する観点」「一部に偏っている」などと口にしたのが、その象徴的例だろう。

 これ自体はめちゃくちゃな言い訳だったが、女性は3割弱という日本学術会議が、多様性に乏しいことは否定できない。(私のタイムラインでも、「高齢男性」ばかりの「学会声明」がいわれている)
 しかし、多様性といってしまえば、今日本の主要政党で、一番多様性に乏しいのは自民党じゃないか、という当然の疑問と課題が出てくる。また一方で、自民党の若手女性議員は、三原じゅん子議員にせよ、杉田水脈議員にせよ、全然多様性も寛容さもない言動で物議をかもしている。

 
 「コロナ後の世界」(文春新書)では、心理学および認知科学者のスティーブン・ピンカー氏が、世界を覆う悲観論に対して「皆さんに送るアドバイスは一つだけ」「落ち着け」と語っていた。(133ページ)
 リベラル派からしてみれば、今の世界は絶望的かもしれないが、全面的な悲観論が正しくないことを今回の米大統領選が見せてくれたのではないか。
 (ちなみにピンカー氏は、近刊「21世紀の啓蒙」において、「右派ポピュリズムは続かない」という展望も語っている。いずれも現代を考えるうえで参考になる本だろう。)

 

 

 

 

 

 

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