法形式的に言えば、靖国は民間の宗教施設なので、そこを参拝することは政教分離の原則に反する。司法の判決でも、すでに「違憲」または「違憲の疑い」が認定されている。(高橋哲哉「靖国問題」の第3章、113~115ページ)
朝鮮出身・台湾出身の軍人は、戦後、日本国籍を失って「日本人」ではなくなったのに、日本軍の戦没者ということで、靖国神社に祭られている。戦犯裁判で死刑になった朝鮮人も同様。
これに対しては、朝鮮のみならず台湾の遺族からも訴訟が起きている。(詳細は田中伸尚「ドキュメント靖国訴訟」参照。)
先日亡くなった台湾の李登輝元総統は、日本軍兵士として亡くなった兄を弔うため、靖国神社に参拝したこともある。これは訃報の際にもふれられていた。
しかし、台湾人すべてが靖国に祭られたことに納得しているわけではない、という当たり前の事実がある。
まとめとして、靖国神社は民間の神道に基づいた宗教施設である一方、戦死者を「勝手に」祭る施設なので、敬虔なクリスチャンでも、ムスリムでも、日本軍で戦死すれば本人の意思を無視して祭られる。さらに遺族の意思も無視されている。
そういう施設に参拝するということは、政教分離の観点のみならず、「全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」(憲法第15条における「公務員の本質」)政治家として問題ではないか、ともいえるだろう。
(長くなったので、続きは次の記事。)
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