馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

篠原健太・作、漫画「彼方のアストラ」。完結まで読んだ感想。(※ネタバレ注意)追記あり。

 漫画「彼方のアストラ」読んでる。「ドクターストーン」と同じく、弟Aがコミックレンタル。まぁ、「ドクターストーンが面白かったなら、彼方のアストラもはまるって」と私がすすめたんだが。
 アニメを見て、萩尾望都の初期代表作「11人いる!」に似ているという人もいた。原作漫画の3巻で、「これはもう、『11人いる!』だ!」というネタが出てくる。何がどう「11人いる」なのかは、ネタバレを避けて、実際読む人、アニメを見ている人のお楽しみにする。
 作者の篠原健太氏は、前作「スケットダンス」でも「まんが道」ネタをやっていたし、レトロ漫画好きによる「11人いる!」リスペクトだろう。

 
 それからの感想。(↓)
 漫画「彼方のアストラ」5巻、完結まで読んだ。すげぇ・・・。ドクターストーンもすげぇと思ったけど、こっちもすごかった。完全にやられましたね。普段少年漫画を見ない、「単純な話ばっかりだろ?」なんて見下している人に、むしろ読んでほしいね。
 (※以下、ネタバレ注意。)

 
 前半までは、面白いけど、そんなにすごいってほどでもなかった。特にうっすら引っかかったのは、遭難したメンバー、それぞれの過去語り。

 「親の愛情を受けなかった」なんて、よくある話だけど、なんかベタでやりすぎ…、と思っていた。ま、少年漫画だからこんなもんかなぁ、と舐めていたが、全くの油断だった。それこそが伏線だったのだ。
 少年ジャンプ連載なのに、4巻で明かされる秘密は、結構ガチな鬱だった。4巻最後のネタばらしもふくめて、マンガ読んでて体がカタカタ震えるなんて、久しぶりの体験だったよ…。

 ま、それでも最後は友情が勝ち、全員が助かるという正しく少年漫画しているハッピーエンドだったけどね。
 「当初の構想から、短くした」と作者はおまけページで語っている。非人道的な計画を進めた大人たちは、必要最低限の情報と登場シーンしかなかったが、それがかえって、読者に宙づり的な不安感を与えるかも(私も・・・)。
 「鋼の錬金術師」タッカーのエピソードも、ネットでは「みんなのトラウマ」とかいわれている。親が自分の身勝手な都合や願望だけで子供を犠牲にすることには、本能的な嫌悪感を感じるよねぇ。(ハガレンそのものが嫌いなわけではない、念のため。)
 子供向け漫画では、「冷たい親」でも「なんだかんだいって、大事に思っていた」といった結末に着地させたりするものだ。そういったある種「安パイ」を否定して、「全く愛されてない子供」が疑似家族の中で再生していく話を描き切った作者もすごい。

 少年ジャンプ、しばらく見ないうちに、すごいことになってんな~。前に聞いた話では、長寿人気作が次々終わって、ワンピース以外メガヒットがないなんて話もあったが、あろうがなかろうがどうでもいいわ。今のジャンプやべぇ!

 

 追記。

 「彼方のアストラ」見てブチャラティしてる人、ツイッターにも3人くらいいて受けるわ。
 ぶっちゃけ、「ジョジョ」のディアボロは、「吐き気を催す」っていう気はしなかったんだよな。もともとマフィアのボスだし…、まぁ悪い奴なのは当たり前、みたいな。しかし彼方のアストラは・・・。