馬と鹿と野と郎の日記

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

今月の「100分de名著」に関連して、「平家物語」はどう史実と違うのか、など。追記あり。

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 今月の「100分de名著」は、「平家物語」。番組中の説明通り、平家物語は史実を基にしたフィクションである。
 とはいえ、この時代に歴史書と小説や文学のはっきりした区別があったのかどうか、よくわからない・・・(goza先生なら知っているだろうけど)。「古事記」「日本書紀」も、分類としては一応歴史書だが、天孫降臨だの神話という名のフィクションまぜまぜだし。
 まぁとりあえず、平家物語が具体的にどう史実と違うのかといえば、たとえば、平清盛の孫・資盛が起こした殿下乗合事件。平家物語では清盛が激怒しているが、当時の史料によれば、実際に怒っていたのは重盛だったらしい(上杉和彦「日本史リブレット 人 平清盛」、56ページ)。
 しかし、感情的で怒りっぽい清盛と、冷静でたしなめ役の重盛という図式は、うまいフィクションだったようで、吉川英治の名作「新・平家物語」でも踏襲されている。
 鎌倉時代に成立した「平家物語」は、源氏を善玉にして、平氏を悪役にした。それは間違ってないのだが、それだけではない清盛の人としての大きさも描かれている。

 第2回になったらふれられそうな気もするが、平家物語には、大輪田泊(現在の神戸市)の堤として経島を築造する際、人柱をささげようとする公卿に対し、清盛が経文を書いた石を沈めて終わらせる、という逸話が記されている。迷信深い貴族と、合理主義者の清盛という対比であり、織田信長などに通じるヒーロー像といえよう。(元木泰雄平清盛の闘い」、文庫版、92ページ。)

 関連まとめ

togetter.com

 追記。まとめについて。

 もう4年前かぁ。今見ると、イキり具合が恥ずかしい…。今だったらもっと柔らかい表現で、偉そうな断定は避ける。今は今で、あれから4年たったのに、この時代に対する知識が進化してなくて恥ずかしい。

 

 

 

平清盛―「武家の世」を切り開いた政治家 (日本史リブレット人)

平清盛―「武家の世」を切り開いた政治家 (日本史リブレット人)

 

  追記。

 お気に召すまま氏の石母田正平家物語」レビュー。

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 ”それは同時代の『方丈記』とはまったく違って、「平家物語の作者は、人間が面白くてたまらない、・・・現世の人間が汚辱と醜悪にみちておれば、なおさらそれを面白いと思う人間である。日本の古代の歴史の中で、これほど人間の種々層が豊富に展開されたことはないといえるこの内乱期に、面白い人間と事件と話が毎日のように見たり聞いたりできた」のだ(p47)。平家物語の作者は、「人間の営みを無意味なものと考える思想とたたかっている」のだ(p50)。”