馬と鹿と野と郎の日記

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

ローマの五賢帝時代

 今月の「100分de名著」は、マルクス・アウレリス「自省録」。
 彼は「哲人皇帝」という異名と共に、古代ローマ五賢帝としても有名な人物。五賢帝とは、字のごとく賢く英明だった五人の皇帝たちのこと。1世紀末から2世紀末までのおよそ100年間、皇帝が優秀な若者を養子にして帝位を継がせたから、ローマ帝国が繁栄した、とされている。
 実際のところ、彼ら四人まではたまたま男性の実子がいなかっただけで、五人目のマルクス・アウレリスは息子に継がせている(北原敦編「イタリア史」、92ページ)。
 ただ、五賢帝の歴史は、後世に与えた影響の方が大きいと思える。18世紀にイギリスの国会議員も務めた歴史家ギボンは、名著「ローマ帝国衰亡史」で、五賢帝時代を「至福の時代」と強調した。同書は、のちにイギリス首相になる若きチャーチルの愛読書でもあった。
 ヨーロッパ諸国のインテリは、必須教養としてギリシャ語・ラテン語、そして古代ギリシャ・ローマの歴史を学ぶ。これで「やっぱり指導者は世襲じゃなくて実力だな」と刷り込まれたんじゃないだろうか。ヨーロッパ文明の「原点」として参照される歴史なのだ。