馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

書評クリップ。「ファクトフルネス」と「エチカ」。

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 「勘違いするのは、悲観的に見ようとする「ドラマチックすぎる世界の見方」が人間の「本能」として脳に組み込まれているからだという」「例えば、低所得国に住むのは世界の人口の9%で、75%は中所得国に住むという事実は、既存の世界観の書き換えを余儀なくさせる」

 私も政治のことを考える時は、ついつい「安倍政権によって日本は地獄を見ている」という見方に沿って文章を書いているわけだが、データはそういってないんだよな。あるいは、これからいうかもしれないが。

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 「今『エチカ』の邦訳が売れている。哲学者の國分功一郎さんが、NHKの番組で、この本を驚異的に分かりやすく紹介したことがきっかけらしい。ただ、そうした最大瞬間風速的な現象を超えて、スピノザは、20世紀終盤以降の最先端の知の流行である。ドゥルーズをはじめ重要な思想家がこぞってスピノザをもちあげた。この17世紀オランダの哲学者の思想が、現代社会が向かおうと欲しているものとどこかで響き合っているのだ」

 そういやドゥルーズは、「西洋哲学には二種類ある。スピノザと、それ以外だ」というくらい、スピノザの独自性を評価していた、らしい。(ネットで見ただけ。本は読んでない。)
 哲学の伝統から言えば、スピノザは異端かもしれない。しかし、妙に堅苦しいカントの道徳哲学等に比べれば、よっぽど現代人になじむ考え方をしている。