馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

大石浩二「トマトイプーのリコピン」の感想。

 

 

 今なら無料で読める「トマトイプーのリコピン」13話。ネットで話題騒然となっていたので、ワイも実際見に行ってみたけれど、確かにすごかった。
 (※ネタバレにつながる感想。注意。)

 

 企画自体は驚くことではない。いつだったか忘れたが、すでにサンデーとマガジンが金田一とコナンコラボとかやってたし。ゲーム会社だってどんどん合併したし、出版社も共存共栄を模索する時代ですよ(たぶん)。
 あれがすごかったのは、大げさにいえば人間心理の盲点を突いていたこと。「お約束」を通じて無意識に培われた思い込みが裏切られる。そこが気持ちいい。
 他の無料公開の回も見たんだけど、プラス2話は特に目を引く。NHK風刺なんだけど、NHK嫌いの感情と主張をドロドロに煮詰めたうえに、それをギャグにしている。コマがセリフでみっちり埋まっているし、少年ジャンプの兄弟誌なのに、「子供に通じるネタを…」という配慮はみじんもなし。
 成長したなぁ、大石先生・・・。初連載「メゾン・ド・ペンギン」の頃は、時々面白かったけど、手探り感が強かった。今はスタイルが完成している。ただ、メゾン最終回は、打ち切られたことを自虐ネタにしていたあたり、片りんは見せていたかな。