馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

野田サトル「ゴールデンカムイ」15巻を読んだ感想。

 15巻読んだ。前の14巻で話は一つの山場を迎えていたが、また脱線しはじめて、本筋がなかなか進まない。月島軍曹にそんな悲しい過去が・・・、って登場人物がことごとく重い過去や事情を抱えていて、何も考えてないのはたぶん白石くらい。
 わき役のサイドストーリーもいちいち長いとはいえ、全くの脱線というわけでもない。月島の過去話では、あの手この手で部下の心をつかみ、忠誠を誓わせる鶴見中尉の悪魔的な手練手管がますます明らかになった。こうも人をだましているのを見ると、序盤に言っていた「元兵士と遺族のために独立国を作る」というのも、実は嘘なんじゃないかと思えてくる。それこそが作者の狙いだろう。