NHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」。安藤百福をモデルにした萬平さんが、憲兵に連行されて、「すぐ釈放されるだろ」と思っていたら、ガッツリ拷問を受けて長く拘留されている。とりあえずウィキペディアを見ると、安藤百福さんも戦時中につかまって拷問を受けたらしい。
朝ドラといえば、登場人物が「いい人」ばかりの「偽善的な世界観」(by宇野常寛氏)と言われるけど、「まんぷく」は脇にうさん臭い人物や食えない人物がいて、適度に緊張感がある。
時代背景の解説。憲兵というのは、本来軍隊内の法規違反を取り締まる軍事警察であるが、一般市民の犯罪を検挙する場合もある。太平洋戦争の時の首相・東条英機は、かつて満州国で憲兵隊司令官を務めていた。憲兵に反体制運動の監視や弾圧をさせていたやり方を、日本の国内にも適用したのがこの時期だった。(吉田裕「アジア・太平洋戦争」、75ページ)
憲兵隊というのはどこでも評判が悪かったようで(そもそも日本国内で悪かったわけだし)、東南アジア方面でも「ケンペイタイ」が、恐怖の記憶として残っているらしい。(池端雪浦編「東南アジア史 島嶼部 2」、343ページ)
なんで司法警察とか普通警察とか、いわゆるただのおまわりさんではなく、憲兵なのか。ここら辺を詳しく解説している本を見たことがないのだが、どうも植民地やそれに準ずる地域では、憲兵と普通警察の境目があいまいになるようだ。
大規模な独立運動や、抗日ゲリラの武装闘争を鎮圧して統治を開始した朝鮮半島や満州国では、犯罪を取り締まる対象である一般市民が、同時にゲリラ支援者(または予備軍)であったりして、憲兵が地域の治安維持から衛生業務まで担当する何でも屋化する。
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