馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

「幻のノーベル賞」が多すぎる。~「歴史秘話ヒストリア」に関連して。

 

 先日の「歴史秘話ヒストリア」は、“幻のノーベル賞”山極勝三郎をやっていた。

 山極が逃したノーベル医学・生理学賞に限っても(というかそれ以外詳しくない)、北里柴三郎が受賞できず(第1回受賞者は北里とジフテリアの共同研究を行ったベーリング)、野口英世第一次世界大戦の混乱で受賞者なし(1915~18年)という異例の事態で逃した。(野口の業績には間違いや誤りが多かったので、受賞できなかったのは結果的に良かったろうが。)
 北里や山極が取れなかったことは、「日本人にあげるのはまだ早い、という選考委員の空気」、要するに人種的偏見があったとされている。(参考、朝日新聞社「100人の20世紀」)
 ただ、「歴史秘話ヒストリエ」では、それについてはふれず、山極が受賞できなかった合理的理由を二つ挙げるにとどめていた。人種差別については、はっきりとした証拠や資料があるわけではないんだろうか。
 山極が取れず、デンマークのフィビゲルが受賞したことは、フィビゲルの人工ガンがのちに誤りとされたことで、ノーベル賞の大きな汚点になった。ノーベル医学・生理学賞ではそのほかに、1949年にロボトミー手術を発明したアントニオ・エガス・モニスが受賞している。

「ロボトミー」の検索結果 - Yahoo!辞書

 ノーベル賞委員会は、こういった失敗に懲りて、近年では数十年間業績が安定して評価されるまで、賞を与えないようになった。日本は4年連続で受賞者が出るノーベル賞ラッシュに沸いているが、ほとんどが老学者が昔の研究を評価されたもので、若手では山中伸弥氏などわずかなものになる。

 そして一方、日本人研究者の論文数は激減している。

 

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