馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

たとえば臓器売買

 それにしても、どうして、効用を置いといて直感を大事にしちゃダメなんでしょうね。
 たとえば臓器売買。現在多くの国で、臓器を金で取引することは禁止されていますが、国家から規制されない自由と、効用をすべてだと考えれば、全くおかしな禁止になってしまう。
 臓器を売って報酬を得る人と、臓器を買って病気から助かる人がいたら、効用が最大化されているし、政府による法的禁止は、「自分の臓器を売る自由」を奪っていることになる。
 もちろん、臓器売買など、常識的に言ってあり得ません。その「あり得ない」「臓器を金で取引してはいけない」というのが、いわば現在の人と社会が積み重ねてきた直感です。
 人によっては、「女性専用車両男性差別」とか、論理的に考えれば「女子大は差別」とかもいえるでしょう。しかし臓器売買に対する感覚的な反発は、女性専用車両の比ではないですね。
 現実には、臓器売買の支持者はほぼいなくても、女性専用車両の支持者はいるから、リベラルが矢面に立たされている。しかしそれは、「リベラルがもっとも穴の多い思想」ではありません。(そう思いたがっている人もいますが)
 リベラルの弱点? 私からしてみれば、他の思想にもっと弱点があったりする。