馬と鹿と野と郎の日記

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

「黒井戸殺し」ネタバレ感想。

 アガサ・クリスティーの傑作ミステリー「アクロイド殺し」(私が読んだ邦訳では、「アクロイド殺人事件」)を、日本を舞台に翻案したテレビドラマ。
 原作は子供の頃に読んだっきりで、ほとんど覚えていない。当時「金田一少年の事件簿」や「名探偵コナン」で、漫画界にミステリーブームが起こっており、普段小説を読まない私が、シャーロック・ホームズやポワロもいくつか読んでみたのだ。
 ドラマ版はよくできていて、これを見て原作小説のすごさも改めて感じた。すべての登場人物が怪しい、うさん臭いという緻密な構成は、最後に探偵が容疑者を一堂に集めて推理を披露する展開に、必然性を持たせている。
 アニメ「氷菓」で知った程度の知識だが、アガサ・クリスティーは「語り部が犯人」という叙述トリックの発明者らしい。原作小説は、一人称の「私」で話が進むところに妙味があるのだが、ドラマでは映像が第三者視点になっているので、どうしてもラストの意外性も薄まる。しかし、総合的にはその難点を意識させないクオリティーだった。