馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

大相撲の「作られた伝統」? 女児禁止の件にもふれて。 追記あり。

mainichi.jp

 今朝の毎日新聞スポーツ面によると、そもそも大相撲の「女人禁制」というのが、近代に作られた「伝統」に過ぎない、という論文がある。さかのぼれば、日本書紀女相撲(女性同士の相撲)の記述がある中、女人禁制は「非常に歴史が浅い」らしい。
 真実の歴史がどうかはともかく、一般論として、「伝統」なるものにはそういう落とし穴がある。「伝統なんだ」といわれれば、勝手に歴史の重み、悠久の時を感じ入ってしまうかもしれない。が、かくいう自分はちょっとやそっと「伝統」の話を聞いただけの一知半解で、とても「伝統」の厚みなんてない・・・、という。
 だから「女人禁制は伝統じゃない」と歴史家に書かれてしまえば、もう何が本当の伝統か、わかったもんじゃなくなるだろう。

東京新聞:「ちびっこ相撲」女児土俵に上げず 協会、静岡巡業で今年から:社会(TOKYO Web)

女児土俵に上げず 静岡場所「ちびっこ相撲」:朝夕刊:中日新聞しずおか:中日新聞(CHUNICHI Web)

 (それまでやることもあった)女児の相撲が突然禁止された件。舞鶴の件では、「人命にかかわるから」と女性が土俵に上がることを肯定する意見がもっぱらで、理事長がすかさず陳謝していた。それに対し、宝塚市長の件では、「伝統だから」「舞鶴の件とは別」と上がらせないことを擁護する意見も多かった。

 前にその賛否をまとめたが、その時から、「じゃあ人命にかかわらない…ように見えるなら、なんでも禁止されるのか」という疑問もあった。
 たとえば、舞鶴の時みたいに倒れるんではなく、土俵の上でふらつくとか気分が悪いとかの時点では、まだ人命の危機ではないんで、女性は土俵に上がってはいけない? そんな線引きが、相撲協会にできるのか?
 今回の女児禁止は、まさに「人命にかかわらない」から相撲協会が悪びれず禁止に走ったわけで、「伝統」擁護派の弱点をさらす形となった。相撲協会が、擁護派をさらに追い詰めるほど自爆していくありさまは、まるで安倍内閣だ。

 追記。

 あとそれから、相撲と女性については、こういう話もある。

土俵の女人禁制は「伝統」なのか? 相撲と女性をめぐる問題提起は過去にもあった

女人禁制の土俵、いまも賛否 「女性総理になったら、杯を誰が…」 - withnews(ウィズニュース)

 「江戸時代は原則として女性の相撲観戦が禁じられ、許されても千秋楽のみだったという」「明治維新と文明開化の流れの中、次第に相撲人気が下火になったこの時期、当時の相撲関係者が元土佐藩主・山内容堂に相談。これに山内は、女性への相撲観覧の解禁を説いたと伝えられる朝日新聞2000年2月13日朝刊)」

 つまり、「興行収入=結局、金」のため、女性の相撲観戦が全面解禁された、という歴史があるそうな。金のためにころころ変わる「デントー」を守る必要があるんですか・・・!?

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中川智子・宝塚市長が、土俵に上がれなかった件。私のツイートと市長支持派、反対派のツイート、雑多なまとめ。(抜けていた文章を追加。) - Togetter