馬と鹿と野と郎の日記

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

薬師寺克行「公明党」(中公新書) 感想

 公明党といえば、創価学会によって作られた政党で、創価学会を票田にしている。表向きは、憲法政教分離規定に引っかからないように、創価学会と一体ではないことになっているが、連携していることは公然の秘密だ。ここまでは社会常識に属するだろうが、それ以外の事柄について、私たちはどれだけのことを知っているだろうか。
 長く与党・自民党と連立を組み、たびたび政策のキャスティングボードを握ることもある政党について、「創価学会の政党」以上のことを知るべきだ、という問題意識を前書きからくみ取った。
 先日やっていた池上彰の選挙速報でも、創価学会信徒の信仰心が選挙運動に利用されているとリポートしていたが、さすがに近年変節の激しい公明党には、創価学会から不満がくすぶっているようだ。創価学会との隙間風や微妙な距離は、先の衆院総選挙で、公明党が得票数を減らして議席をいくつか失ったことの説明もつく。
 2016年4月の本だが、その時期の大きな出来事として、公明党集団的自衛権の容認に転換したことと、軽減税率を認めさせるために粘ったことがある。そして、公明党50年の歴史をたどった結論として、生活や福祉にかかわる個別の政策には強い(強気だ)が、「目指すべき国のあり方」といった全体像を持たず、外交や安全保障問題に弱いとされている。
 その結果として、特定秘密保護法、集団安保法制容認、軽減税率への執着があらわれた。その傾向は、2017年10月現在も変わらないだろう。
 政教分離に違反した創価学会との密着ぶり、といったスキャンダラスな批判を置いといて、公明党について政治学的な分析を読める本。

 

公明党 - 創価学会と50年の軌跡 (中公新書)