馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

立憲民主党というラストチャンス

 枝野幸男氏ら、民進党のリベラル系議員が、勝手に希望の党と合流した奴らを見限って新党・立憲民主党を立ち上げた。小選挙区制では、周知のとおり死票が多く出るので、中小政党は勝ちにくい。
 小選挙区制の時代に、党を割るのは強さではなく弱さの表れとみられる。ケインズに言う「美人投票」のように、リベラルな有権者が「支持したい政党」ではなく、「自民党に勝てそうな政党」に流れる場合、立憲民主党にどこまで票が集まるか。
 それでもこれは、旧民主党が再生するチャンスだろう。旧民主党とは、「自民党政権交代可能な政党を作る」という一点で、右派から左派まで幅広く集まった寄り合い所帯だった。だから自民党の批判はできるが、自らが政策の方向性をはっきり示そうとすると、右派と左派の合意ができず、中途半端になってしまう。
 一時期は、自民党にうんざりした市民によって政権与党の座に就いたが、それ以降は寄り合い所帯の悪さばかり露呈している。
 誰もが「自民党の批判」だけの民進党にうんざりしていた。だから自民党の総得票数が低迷するなかでも、民進党の支持はそれ以上に破滅的に低かった。民進の保守派が希望の党に流れ、ある程度思想的方向性の一致するリベラル系で再結成した立憲民主党は、今こそ政策を前面に推していくしかない。
 ぶっちゃけ、できたばかりで今回の選挙は準備期間が短すぎるので、立憲民主党は伸びないだろう。社民や共産との連携のように、左派勢力で選挙協力できるのなら、選挙に弱い中小政党でも、ある程度持ちこたえられるかもしれない。その間に、定着させることができるか。「ラストチャンス」を生かせるのか。