馬と鹿と野と郎の日記

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

「働かない権利」が存在しない中で

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 自民党議員・大西英男氏の「がん患者は働かなくていい」という「問題発言」。安倍首相の「一億総活躍」というスローガンには反するが、こちらの方こそ、「一億火の玉」みたいな総動員体制を連想させて、個人的には気に入らない。
 今の日本では、「働く権利」は存在しても、「働かない権利」は事実上存在しない。病人は「働けない」んであって、働かない権利を行使しているわけではない。
 生活保護は、「受けている奴は一日何もしていない」という勝手なイメージや偏見とは別に、たいていケースワーカーによる自立支援とセットだ。そんな中、病人の「働く権利」ばかりが推進されるとどうなる?
 問題となったヤジは、受動喫煙防止対策の議論中に出てきた。大西英男氏は、たばこ業界の利害を反映していたとされる。もちろん受動喫煙対策は大切だが、今の政府が国民の健康管理を進める流れと、教育勅語を評価する右翼的言動は、偶然の一致だろうか。
 歴史をさかのぼれば、たばこと発がん性の関係を研究し、禁煙運動を推進した先駆者はナチス・ドイツだった(プロクター「健康帝国ナチス」など)。知識人がよく指摘する、福祉国家と総動員体制の親和性に気を付けよう。

 

健康帝国ナチス (草思社文庫)

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