馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

推進されるGOTOと、放置される子育て中の夫婦や非正規雇用。※参考記事を追加。

www3.nhk.or.jp

 自民党菅内閣支持者も、さすがにこれにはおかんむりのよーでござる。しかし自公与党と菅内閣は、「コロナ対策より経済最優先」という点で、一貫しているとすらいえる。
 右派が「コロナで自粛よりも、経済を回せ」と主張した結果が、拙速なGOTOであり、拙速な外国人受け入れの再開だった。もはや、心ある市民は巻き添えにならないよう、自衛するしかできない。
 「経済を回す」のが悪いのではない。T中平蔵氏が儲けるだけの、弱者を助けてない経済対策を見直すべきだ。

 

 たとえば、コロナ不況で真っ先に首を切られる/切られそうになっている、フリーランス、非正規の若者や女性。これらへの支援は手薄である。

 この前のNHKニュースでは、「コロナ禍で増えている児童虐待」「孤立する子育て中の母親」ってやってて、ヨーロッパでもDVが増えているっていうし、不思議はない。

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 識者や記者は、「支援が必要な人たちに支援が届いていない」と繰り返す。庶民も直感的・経験的に分かることだ。
 政府は「売り上げが落ちた業種を支えるために…」とGOTOトラベルやらイートやらやっているが、それ以外のことがほとんど行われていない。今の自民党は、特定業界の利益を守ることしか頭になく、若い夫婦、非正規などは放置状態である。

 

 日本の「リベラル」も、国家の役割をどうすればいいのかはっきりとビジョンを持たないうちに、コロナ禍を迎えたという点はある。たとえば、対策に成功した台湾や韓国(比較的成功)の、感染者の行動ルートを公開とか、これを日本でも導入していいのかどうか。

www3.nhk.or.jp ただ、今の政府はそれ以前の問題だ。利権にからめとられ、ぞっとするほど愚かに思考し、愚かに行動している。

 政府に全力の「ノー」を突き付けるしかない。

 

 追加。参考記事。

news.yahoo.co.jp

 ”台湾では、「電子フェンス」と呼ばれるシステムを使っており、自主隔離の対象者の携帯電話が接続する基地局のデータから、位置情報を取得。端末が15分以上、電源オフとなっていた場合、自動的に当局に警告が送信されるという。”

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=64275?site=nli

 ”韓国政府は、感染拡大を防止するために感染者の感染経路や自己隔離中の移動経路に関する情報提供を可能にした。韓国政府は、感染が確認された場合、感染者のスマートフォンやクレジットカードの使用履歴、監視カメラなどの情報などを用いて感染されるまでの感染経路を把握し、公開している。”

日本の選挙制度を、ドイツやフランスと比較する。

 

 前の衆院選、「野党の方が比例の得票数が多い」というのは負け惜しみに聞こえなくもない。が、選挙制度によって、議席の配分が変わることを念頭に置こう。

 ドイツも似たように見える小選挙区比例代表併用制だが、比例の方が基本であり、比例の議席数が多い。日本の衆院選は、小選挙区での議席数が多い。
 また、フランスも小選挙区制であるが、当選には絶対多数が必要なので、ひんぱんに2回目の投票(決選投票)になる。(有斐閣アルマ「現代政治学 第4版」99~101ページ)
 私が相互フォローさせていただいている三春充希氏の「武器としての世論調査」では、「第8章 選挙はどのように世論を反映するのか」で、日本が選挙制度改革で採用した小選挙区比例代表制の仕組みを解説している。
 フランスとの比較でいうと、たとえば1回目の投票で極右の候補が1位でも、絶対多数でなければ候補を絞った決選投票になる。このとき、中道候補が2位に付けていたら、中道から左派まで共闘して中道候補を勝たせることもできる。
 フランスはこのような「戦略(的な)投票」がやりやすい仕組みなのだが、日本では小党分立で共倒れ、ということが頻繁に起きる。
 私は別に「フランス、ドイツに学ぼう」といいたいわけではなく、「あれ、選挙制度がちょっと違ってたら、負けてたんじゃね?」と思って、謙虚になることをすすめている。

 

 

 

現代政治学 第4版 (有斐閣アルマ)

現代政治学 第4版 (有斐閣アルマ)

 

 

日米のトランプ支持者、まとめ。※追記あり。選挙で自民党の憲法改正が支持されたか?

togetter.com

 追記。午前8時、忘れていたツイートを追加しました。

 

 追記。コメント欄に書き込んだ文章。
 現在の野党共闘が、野合であるというのは、その通りでしょう。しかし、自民・公明の連立政権も、憲法改正等をめぐって越えがたい不一致があるのに、きわめて緊密に選挙協力を行っています。

 よく言われることに、「小選挙区は自民に、比例は公明に」といった、有権者が持つ2種類の票を分散させる戦略があります。
 ティルティンティノントゥン氏のたとえを借りるなら、ここで自公の狙い通り小選挙区で自民、比例で公明に入れた人は、自民党憲法改正案を支持しているのか、支持していないのか、わからないことになります。
 よって、「野合はよくない」という批判を杓子定規に受け取らず、中北浩爾「自公政権とは何か ──「連立」にみる強さの正体」が提言するように、「まず選挙で緊密に連携する」という戦略は十分成り立ちます。

 

 

さまよう保守派。

 保守派の価値観が、袋小路に入っていると思う。

 時代の流れで保守派も「多様性」を否定できなくなった。菅総理日本学術会議の任命拒否問題で、「多様性を確保する観点」「一部に偏っている」などと口にしたのが、その象徴的例だろう。

 これ自体はめちゃくちゃな言い訳だったが、女性は3割弱という日本学術会議が、多様性に乏しいことは否定できない。(私のタイムラインでも、「高齢男性」ばかりの「学会声明」がいわれている)
 しかし、多様性といってしまえば、今日本の主要政党で、一番多様性に乏しいのは自民党じゃないか、という当然の疑問と課題が出てくる。また一方で、自民党の若手女性議員は、三原じゅん子議員にせよ、杉田水脈議員にせよ、全然多様性も寛容さもない言動で物議をかもしている。

 
 「コロナ後の世界」(文春新書)では、心理学および認知科学者のスティーブン・ピンカー氏が、世界を覆う悲観論に対して「皆さんに送るアドバイスは一つだけ」「落ち着け」と語っていた。(133ページ)
 リベラル派からしてみれば、今の世界は絶望的かもしれないが、全面的な悲観論が正しくないことを今回の米大統領選が見せてくれたのではないか。
 (ちなみにピンカー氏は、近刊「21世紀の啓蒙」において、「右派ポピュリズムは続かない」という展望も語っている。いずれも現代を考えるうえで参考になる本だろう。)

 

 

 

 

 

 

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