馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

コロナ流行という事態から生まれたバイデン新大統領。

 陰謀論者やネット右翼は大いに勘違いしていたけれど、バイデン氏個人は重要ではない。春ごろに新型コロナの流行で、サンダース氏やブティジェッジ氏が早々と予備選を降りて、バイデン氏に候補を一本化したのだ。

 重要なことは、民主党が反トランプ票を集約することだった。

 民主党予備選の序盤では、むしろバイデン氏が苦戦していた。バイデン新大統領誕生は、新型コロナという異常事態が呼び水になったのだ。

アメリカ、民主党の候補者選び。バイデン氏とサンダース氏について。 - 犬沼トラノオ日記

 ネット上には、バイデン氏が「中国から利益供与を受けている」バイデン氏の息子が「未成年少女と淫行」「ドラッグ」といった真偽不明のスキャンダルがばらまかれたが、これらはバイデン氏が「ベテラン議員」で、「すでに成人した息子のいる高齢者」という経歴に依存していた。
 副大統領(候補)に指名されたハリス氏や、若き新星と目されたブティジェッジ氏だったら、こんなスキャンダル作戦もできたかどうか…。

 むしろ「多様性」や「寛容」といった、リベラル派の価値観を脅かさないやり方に、反リベラル、反ポリコレ勢力の限界を見た。

 
 そもそも、今アメリカでもっともスキャンダルまみれの政治家といえば、まずトランプ大統領である。保守派はロシア疑惑といった、数々の確度が高い不正や疑惑をスルーし、なぜか「バイデンの息子ハンターが…」という周辺的スキャンダルまで気にしている。
 ロシア疑惑等々の追及は、共和党過半数を占める上院が握りつぶした(前に説明したとおり、大統領の裁判は連邦議会上院が行う)。

現職大統領の方が「不正選挙だ!」という事態。 - 犬沼トラノオ日記

 しかし、この時点ですでに、ロムニー上院議員といった共和党の有力議員が、トランプ氏と距離を取っていた。
 政治経験がなく、最初は泡まつ候補扱いだったトランプ氏に、共和党が心中する覚悟で忠誠を尽くす理由はない。
 私の予測はあまり当たらないのだが、これから共和党の手のひら返しが始まるのではないか。

 

 参考。

webronza.asahi.com

webronza.asahi.com

www.asahi.com

メモ、マンガの過去回想。

togetter.com

 「北斗の拳」はもはや伝説となった「アミバ」のように、1週間でキャラの設定が変わることもあったので、どんどんと回想で話が塗り替わっていくテキトーさがあった。

 それに比べると、「鬼滅の刃」は作者がキャラのことをよく考えているな、と思う。(北斗の拳をディスっているわけではない。むしろ少年漫画はあれくらいお馬鹿でいいと思うんだけど、最近のは知能指数が上がり杉)

現職大統領の方が「不正選挙だ!」という事態。

inunohibi.hatenablog.com

選挙権のない日本国民から見たアメリカ大統領選挙。 - 犬沼トラノオ日記

メモ、スキャンダル。 - 犬沼トラノオ日記

 現職大統領が票を操作した例は、ままある。
 最近では、ベラルーシの選挙不正疑惑。過去には、プーチン大統領も不正疑惑で、国民が怒りのデモを起こしていた。
 しかし、現職に挑戦する候補者の方が票を水増ししていたというと、常識的に考えて、どうすればできるのかわからない。
 また、いつものように大統領選と同時に連邦議会選もあったが、下院では民主党過半数を取りそうな一方、上院は共和党に負けそうらしい。バイデン氏が票を操作していたのなら、なぜ上院も民主党が勝つようにしなかったのか。
 (アメリカの連邦議会は、下院が任期2年。上院が任期6年だが、2年ごとに3分の1が改選されるので、つまり2年ごとに上下両院が選挙をやる。)

 大統領職の任期はまだ終わっていない。ぜひともトランプ氏は、現職大統領の権限をフルに使って、バイデン氏不正の証拠を耳そろえて提出してくれ。
 また、大統領が任命する高級官吏の承認権は上院にあるので、共和党過半数を維持する見込みの上院が、バイデン新大統領の人事案に抵抗すれば、ワンチャンあるで。

 (下院の方は、大統領をはじめとした公務員に対する弾劾(提訴)の専権を持つが、裁判を行うのは上院であるため、事実上は上院の方が優越している。)

kotobank.jp

www.jiji.com

 
 日米の陰謀論者やトランプ支持者は、「マスコミは真実を隠している」という。トランプ支持者によれば、バイデン氏は中国寄りで、バイデン大統領誕生で中国が覇権を手にするという。

 しかし、日本と欧米のマスコミは、中国の少数民族弾圧や、市民に対する人権侵害を、たっぷり報道している。何も隠されていない。
 本当にマスコミが「媚中」バイデンとグルならば、かつて日本の左翼が毛沢東文革を礼賛していたように、中国持ち上げちょうちん報道をしているはずだ。

 
 「いや、バイデンは裏で中国とつながっているんだ」といいたいかもしれない。しかし、そういうたぐいの暴露記事なら、トランプ大統領についても出回っていて、たとえば最近話題になったボルトン氏の本では、トランプ氏が中国のウイグル族を見殺しにするような発言も載っている。
 裏で何をしているか、私は知らない、分からない。ジュリアーニニューヨーク市長の告発動画とか、現時点では検証を待つだけ。アメリカ政治の素人だから。

バイデン票が伸びるのは、別におかしくない。

選挙権のない日本国民から見たアメリカ大統領選挙。 - 犬沼トラノオ日記

 トランプ氏が主張する「バイデン陣営の選挙不正」。デマだと指摘されても、「いや、バイデン票が急に伸びたのはおかしい」という人もいる。

 いやいや、おかしくないって。開票前から、バイデン支持者はコロナを警戒して、郵便投票が多かったとされている。
 一方、トランプ支持者は、前々からトランプ氏が「郵便だと票が操作・改ざんされる可能性がある」と主張しており、トランプ氏のコロナ軽視の姿勢と相まって、直接投票所に行った人が多かったという。

 だから、郵便や在外投票がカウントされる後の方から、バイデン氏が追い上げる可能性も指摘されていた。(国外にいるアメリカ人は、リベラル派が多いとされている。パックンもそうやし)
 全部テレビニュース等で識者が予測していたことで、ちっとはテレビ・新聞を見ようや。

 
 テレビや新聞、大手マスコミが特定の思想に偏っているというのはその通りだけど、幅広く様々な媒体を見なければ、やっぱり情報が偏ることになる。人間は完ぺきではないので、そもそも「これだけ見ればいい」という常に絶対の真実を報じるメディアなんて存在しない。

選挙権のない日本国民から見たアメリカ大統領選挙。

 日本のテレビでは、連日アメリカ大統領選の情勢が報じられているが、そこまで熱心に解説する意味はないぞ。

 そもそも日本国籍の日本国民には投票できないのだから、報道を見ても結局、「ちょっと気になる」という野次馬根性を満たすことしかできない。
 もちろん、日本の安全保障にとって、アメリカは重要な国である。ところが、変化し続ける国際情勢の中で、日本は良く言えば安定、悪く言えば停滞している国なので、日米関係も下手にいじくる必要がない。トランプ氏でもバイデン氏でも、日米関係が大きく変わるとは思えない。
 オバマ大統領の時は、対立する共和党からさんざん「弱腰外交」とののしられ、真に受けていた日本のネット右翼も「オバマはダメだ」といっていたが、そもそもアメリカの国内世論が、アフガン、イラクの手痛い経験で、軍事介入を避けるようになった。
 そして、トランプ政権ではっきりと分かったことだが、アメリカは日本のため北朝鮮その他に圧力なんかかけてくれない。「オバマがダメ」なんじゃなくて、今のアメリカの外交的選択肢がそうなっている。
 一方、今の中国は、国内の住民弾圧が深刻になり、トランプ氏もバイデン氏も、競い合うように中国への批判を口にしている。バイデン氏が大統領になっても、もはや人権問題への配慮から中国に甘い顔はできず、よくニュースで強調される「米中対立の行方」「激しさを増す米中」は、基本的に中国の出方にかかっているといえる。
 内政では、トランプ氏が経済優先、疑似科学的であり、バイデン氏がコロナ封じ込めを口にし、こっちの方が冷静で客観的な科学政策への理解がありそうだ。しかしまぁ、これこそアメリカ人の運命の話で、アメリカ人が投票で決めること。

 
 ただし、左右イデオロギー闘争の象徴として、アメリカ大統領選が代理戦争になる構図はわかる。トランプ氏が勝てば、日本の右翼はまるでアメリカの後ろ盾を得たように感じるだろうし、逆にバイデン氏なら、日本のリベラルがお墨付きを得た気分になるだろう。本当はそんなことないんだけど。
 ま、人の移動がグローバル化した時代、日本にもアメリカ国籍の住民とか結構いるだろうし、そういうマイノリティーを意識するのはいいこと。私がいいたい事は、日本の政治は、アメリカの選挙結果とかではなく、日本に暮らす人の手で帰るしかないということ。(国政選挙権はなくとも、とうぜん在日外国人にもかかわること)

 
 余談だが、欧米のことを持ち出すと「欧米出羽守」などと揶揄され、日本のネットユーザーは、欧米のことを嫌っているように見える。

 しかしそうではない。イギリスがEUから離脱し、トランプ氏が大統領選に勝利した4年前とか、 ネット右翼に「もはやリベラルは嫌われている」「ポリコレが嫌われている」という調子づいた空気が生まれたように、彼らも欧米のことはだ~い好きだし、ちくいちその動きを気にしている。

 ただ、欧米のリベラルに寄りかかるか、保守派に寄りかかるか、といった対象の違いで分かれる程度。