馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

「ノイエ銀英伝」2クール終盤のまとめ的感想。(※下の方に原作ネタバレ)

 というわけで、ノイエ銀英伝のテレビ放映終了。
 続編が制作決定したらしい。初見組が「えっ、これで終わり?」と困らないように、再放送の最後にも発表してほしかった。

 そういえばジェシカの悲惨な死にざまと、誰もが「まさか」と思ったキルヒアイス死亡、(さらにグリーンヒル父)の死亡ラッシュ・サンドイッチになってかすむブラウンシュバイク公だが、名門貴族としてかっこつけようとしながら、やっぱり死ぬのが怖いというリアルな凡人っぽさがいいんだよな。
 (ジェシカとキルヒアイスは、普通の人に無理だと思える高潔さ、自己犠牲の精神があっただけに。)

 

 それにしてもノイエ版で印象的なのは、トリューニヒトの顔立ちがきれいなこと。なにこの、菩薩のような透明感ある瞳ぃーー!! 石黒版はやや悪党面の初老男だったが、ずいぶんと穏やかで優しい印象になった。そして確かにこれは、不気味で底知れない。
 原作通りの順番とはいえ、最終回がトリューニヒトの「不気味さ」で締められるのは、現代に象徴的…。と、定型的な時事を絡めたアニメ感想をしても、安倍前総理もトランプ大統領もトリューニヒトっぽくはなかったナ。良くも悪くも裏がなく、表を見ればすべてが分かる。
 あえて近い人物を探し出せば、イギリスのジョンソン首相だろうか。彼は元々イギリスのエリート本流なのに、俗受けする言動を繰り返し、EU離脱も時の流れで支持派に回った。この前の総選挙は圧勝したが、コロナ対応でメッキが剥げつつある。

 

 ※原作のネタバレ注意

 
 (そもそも、異常に執念深く死に際にも仕掛けを施していたルビンスキーと違い、トリューニヒトはあっけない退場で、個人的にモヤモヤの残る最期だった。なるほど、銀河英雄伝説本編が「ユリアン演義」説でいえば、「トリューニヒトが掘り下げられてない」ということになるわけか。)