馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

人の入れ替わる時期が来た? ~日本型エリートの法則。(ちょっと修正)

 最近は、ついつい日本の行く末について暗い話ばかりになっているが、少しは楽観的な予測も書いておこう。

 このたびのコロナ禍に対し、「戦後の日本も焼け野原から復興したから、日本は再生できる」と希望を語る人がいる。わたしもそれは十分可能だと思う。
 日本の歴史上、危機にうまく対処できた例といえば、戦後復興と並んでやはり幕末の黒船を想起するだろう。

 江戸時代も戦前も、日本人の教育水準は非常に高かった。内からの市民革命は起こらず、結局外からの危機に対処する形で方向転換したが、それを担った人材は、明治では幕末からの下級武士や新興商人であり、高度成長期の企業家たちも、敗戦前から教育を受けたものが多い。
 軍部とか既成のエリートが信頼を失って、政治の中枢からごそっと抜けると、それを埋めるように優れた才能を持つ人が出世した。
 今の日本は、目も当てられない無能な政治家が支配している(ように見える)。スポーツ選手やクリエイターだったら、世界的に活躍している人は多い。これらは個でも才能を生かしやすい分野だからだろう。

 才能ある個人がいても、「組織」がダメになっていた日本。人材を入れ替える時期に来ている。
  
 キンモンス「立身出世の社会史」という、近代日本のエリートを分析した興味深い本があって…(私が見たのは竹内洋氏の紹介だけなんすけど)。

 明治からは親の身分とか家柄にとらわれず、勉強ができれば出世できたから、エリート間の競争は激しかったらしい。
 エリート間の争いが、「出る杭は打たれる」という足の引っ張り合いとなり、エリートの小粒化を招いた。一方で、戦後のように、焼け野原になっても優秀な人材が出てくる、いい方向への作用もあった。

 今は小粒化のフェイズなんで、歴史的「エリートの法則」でいえば、次は優秀な人材が…?

  

 参考

 第三章の「エリート(昭和エリートの運命)」を竹内洋氏が書いている。

昭和史がわかるブックガイド (文春新書)

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  • 発売日: 2020/05/20
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立身出世の社会史

立身出世の社会史