馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

検定制度そのものは課題が色々あるけれど、検定意見が正しすぎる…。

www.sankei.com

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 "自由社の「日本の皇室は、神話の時代から現代まで続く」との記述には「神話を史実と誤解する」として、「仁徳天皇は世界一の古墳に祀られている」との記述には「表現が一般的ではない」などとして検定意見がつき、認められなかった。"

 

 「世界一の古墳」ってのは、誰基準ですかね? 日本人がそう思っているだけなら、恥ずかしすぎる。
 「神話の時代から現代まで」って、天皇家歴史学的にさかのぼれるのは、6~7世紀まで(中公新書編集部・編「日本史の論点」、第1章、論点2。)。確かに「日本書紀」等には、神話の時代から皇室が存在していたことになっているが、それじゃあ天皇の御先祖が太陽神(天照大神)という伝説が史実になってしまう。

 
 ちなみに、「日本軍が「(マレーシアなどで)多くの人びとを虐殺」~との記述もあったが、検定意見はつかなかった。」というのは、まるで新しく加わった記述のような印象を与えるが、少なくとも山川の歴史教科書では、前からあった文章だった。
 歴史学的な説や解釈が変化したわけでもないのに、検定意見を付けるとしたら、それこそ文部科学省の思想検閲になってしまう。