馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

イギリスの総選挙で、労働党が惨敗した。それでも、まだ希望は残っている。

 遅ればせながら、イギリスの総選挙で労働党が惨敗したことを考える。

 
 かつて経済危機をきっかけに勢いを得ていた左派ポピュリズムは、最近退潮が目立つ。スペインでは左翼政権が選挙で負けて、中道右派政権に交代した。(ベネズエラボリビアにおける左翼政権の破綻は、また別の現象だと思うが・・・。)
 朝日新聞の国際面では、地方の労働者が「祖父も父も労働党を支持していたが、今の労働党極左に乗っ取られた」と嘆いていた。確かに、コービン党首は核保有国のイギリスで核廃絶を唱えるなど、極端に映ったかもしれない。

 ブレア氏、ブラウン氏の中道路線がダメになり、コービン氏の左翼路線もダメとなると、労働党の再生は厳しい。
 一方で、保守党が財政支出を拡大し、福祉を充実する方へ軌道修正したのは、数少ない明るい材料だろう。

 (前に紹介した)保守党による「暗黒の10年代」が嫌われて、2017年の解散総選挙では、保守党が過半数割れし、コービン党首率いる労働党が躍進した。この敗北を受けて、すでにメイ首相率いる保守党は緊縮路線を見直すようになっており、これは労働党無くしてあり得なかったはずだ。

 
 20世紀を通じて社会主義の実験は失敗に終わったわけだが、資本主義陣営も自己修正をせざるを得なくなった。20世紀の半ばから後半、大幅に富の格差が縮まっている。
 ベルリンの壁崩壊後の30年間は、資本主義が対抗馬を失って慢心し、暴走と迷走を始めた時代だったのではないか。(漫画でもよくあるだろう、ライバルがいるからこそ、主人公は強くなれる、と。)
 今、再び修正力が働こうとしている。というわけで、決して悲観ばかりしてはいけない。