馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

2018年の政治を総括する。立憲民主党は「リベラル」であるか。 追記あり。

 2018年も終わりに近づき、そろそろ毎年恒例「今年の何々を振り返る」的な企画が新聞とかに載るだろう。私も、最近は細切れな安倍政権批判ばかりになっていたので、ちょっと総括してみよう。臨時国会も終わったしね。
 今年は、「立憲民主党飛躍の年になれば・・・」と思っていたが、ならなかった。なんでだろーか。原因の一つだと想像するのが、結党当初「リベラルの星」として期待された立民が、リベラルとして腰の据わったアピールをできてない点だ。

 旧民主党政権のような、中途半端なリベラルかつ緊縮路線を絶対繰り返してはならないのだが、旧民主党から生まれ変わったといえる政策ビジョンがあまり見えてこない。
量的緩和とか財政出動とか、経済左派的なお株を安倍政権に奪われている難しさもあるが、マスコミにも責任があるだろう。

 ネットではよく「野党は与党を批判するばっかり」と言われているが、立憲民主党のホームページを見れば、「LGBTの権利向上」といった具体的な政策もあるよ。それだけではマジョリティーにアピールしないかもしらんが、杉田水脈LGBT差別発言が問題になった時でさえ、与党への批判が報じられるばかりで、ほとんど誰も「立憲民主党LGBTの権利向上をうたっている」とは強調してくれなかった。これでは表面的にテレビニュースを眺めていれば、「野党は仕事していない」となってしまうじゃないか。

 一方で立憲民主党自身の問題は何か。それは、韓国の徴用工判決で枝野幸男代表が「遺憾」といってしまうような、日本人マジョリティーに不人気な政策を避ける姿勢かな。そこがまた、「共産党よりマシ」とぬるい市民に受けるのかもしれないが。

 とはいえ韓国政府も、現状ではダブルスタンダードだけれど…。ネット右翼はよく、「ベトナム戦争で韓国軍が民間人を虐殺した」「ライダイハン」という。韓国の元慰安婦が、もし日本から補償金を受け取ったらヴェトナムの戦争被害者の補償に使いたい、といったように、ダブルスタンダードを克服しようという動きはある。
 しかし現状では、韓国の保守派から反発が大きい話なので、政府レベルでは実現しそうにない。歴代の左派政権でも、控えめで最低限といえるお詫びが限界だった。現在の文在寅大統領も、「遺憾」でとどまっているようだ。
 裏を返せば、韓国が政府レベルでヴェトナムの戦争被害者にしっかりと謝罪と補償をしたならば、日本政府も腹をくくって元慰安婦や元徴用工にしっかりと補償しなければならないだろう。ま、右翼にそんな覚悟はないだろうけどね。
 ネトウヨがないのはわかりきっていること、別にいいんだ。問題は、立憲民主党にその準備があるのか…、そこで「リベラル」の真価が問われるわけだ。

 追記。

 韓国で賠償を命じる判決が続々と出る中、「もはや断交しかない」「経済制裁してやれ」と気炎をあげる人々が目立つ。しかし対北朝鮮で核問題や拉致問題を抱える現在、国益や国家戦略の見地から、「ここは気前よく補償して、韓国世論の歓心を買ってやれ」という人がいてもいいと思う。国益といったら、拉致被害者が帰ってくる以上の国益はないので、韓国との外交も関数的立体的に考えなければならない。

 

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