【6日夜】なぜ日本は、圧倒的な国力差があるアメリカとの戦争に踏み切ったのか?
— NHKドキュメンタリー (@nhk_docudocu) December 5, 2018
開戦を回避すべく直前まで日米交渉に奔走した首相・近衞文麿。その選択と挫折から #磯田道史 さんが“外交敗戦”の真相に迫る。
6日(木)よる8時から放送予定です。[BSプレミアム]
#昭和の選択 https://t.co/nRE8oCU12r
NHK「昭和の選択」。先日のテーマは、近衛文麿と日米開戦。
近衛文麿というのは、どうしても評価が微妙になる人物。日中戦争で「不拡大方針」を唱え、和平工作をやっといて、「国民政府を対手とせず」と声明したり、戦争が泥沼化するとやっぱり交渉相手と認めたり(第二次近衛声明)、何をドタバタやっているんだ、いったい何がしたいんだこいつは、と見えてしまい、「優柔不断」で「意志が弱い」という分析が有名だった。
筒井清忠「近衛文麿 教養主義的ポピュリストの悲劇」(岩波現代文庫)などは、「優柔不断」といった個人的性格で説明せず、「ポピュリズム政治」という構造から近衛文麿の迷走に迫った力作だった。その筒井氏も出演していたが、そういう複雑な議論を限られた放映時間で展開するのは無理があったようで、「ポピュリズム」への言及はぶつ切りに終わった印象。
あとそれからまぁ、磯田さんが「ドイツにドーヴァー海峡を渡る軍事力(海軍力)はない」とか細かい話に熱っぽくなっちゃうし。
というわけで、とっ散らかった話題に難はあったけれど、番組は面白かったよ。近衛文麿のような微妙な人物だからこそ、議論になると面白いというのもある。
最近では、ほかに古川隆久氏が近衛文麿の評伝を書いていたり(未読だけれど)、実力のある歴史家がそろって近衛文麿の再解釈に取り組んでいる。
山本五十六なんかになると、褒められて終わりになりがちだからね。笠原十九司氏がよく記すところでは、日中戦争がはじまった当時、無法な南京渡洋爆撃を推し進めたのが海軍次官の山本だった(岩波新書「南京事件」など)。一般的にはほとんど取り上げられないけど、悲劇のヒーロー的イメージを壊してはいけないという「配慮」が強すぎるのかな。