馬と鹿と野と郎

「世人は欺かれることを欲す」(ペトロニウス)

雑誌カラーが断絶転換していくジャンプ。「約束のネバーランド」を2巻まで読んで。追記あり。

 弟がTSUTAYAから借りてきたので、「約束のネバーランド」を2巻まで読む。

 話のメインはデスノート的な知恵比べなのだが、ジャンプ作品とは思えないくらいダークな設定。ちびっ子のトラウマ度高そう。

 まぁ面白いんだけど、大人としては「よくこの設定が通ったな」とか連載の裏側の方が気になります。
 「ジャンプ作品とは思えない」といったばかりだが、ジャンプというのは、雑誌カラーが激しく断絶していった媒体でもある。世代的に昔の話でよく知らないが、かつては本宮ひろ志男一匹ガキ大将」とか、「北斗の拳」とか、劇画調で男臭い漫画が人気だった。それが名編集者・鳥嶋和彦氏に鳥山明氏が推されたあたりから、ポップな冒険&バトルの漫画が主流になっていった。

 ジャンプはよく知られている通り、アンケート人気至上主義の非情なシステムだが、逆に売れる限り何を書いてもいいという懐の深さがある。「まどマギ」や「がっこうぐらし!」のヒットで、オタク向けでこういうパターンの話が流行ってんな~と思ったら、たちまちジャンプが取り入れてしまった。…とここまで言及したら、もうほとんどネタバレになってしまうのだが。
 一方で、マガジンやサンデーはいまいち保守的。チャンピオンは、風説によると四誌の中で最も自由に書かせてくれるようだが、やはり「チャンピオン色」とでもいうべき異様なダサさがある。
 弟から聞いた話に過ぎないが、今イキのいいジャンプ作品では、「ワールドトリガー」も少年漫画と思えないほど軍隊的リアリズムに貫かれているらしい。ジャンプはちょっと目を離したすきに、メタモルフォーゼしている。

 

 追記。

 昨日「チャンピオンはダサい」といってしまったが、あ、「BEASTARS」はチャンピオン連載作品だった。あれはびっくりした。ああいうのをおしゃれというのか知らんが、「面白いけど、ダサい」みたいなマンガばっかりだったチャンピオンが、あんなにセンスのいいマンガを…。

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